俺だけになぜ、災難がつづくのか
□災難その1
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ずっしりとした門を通る。
その内側には、マンションの一部屋だけ切り取ったような小さな建物が建っている。
ここが門番の部屋か?
「新入生の方ですね?」
玲央が建物を眺めていると、その建物の特徴の一つでもある異様にでかい窓がガラリと開けられる。
そして、門番というよりも執事という方がしっくりくる、スーツ姿の男が顔を出す。
シルバーのメガネがよく似合う涼しげな目をした、美人だ。
「、、、そうです」
玲央は、つまらなそうに答える。
「篠崎玲央様でいらしゃいますか?」
男は、事もなげに玲央の名前を言い当てる。
「なんで?」
顔には、一瞬だけ驚きの表情をする。
だが、すぐにそれを無表情の仮面の下に隠す。
玲央にも、静香の小説からの知識が多少なりともある。
あまり、感情はださない方がいい。
取りあえず、それだけは気を付けておく。
「私は、学園の関係者の顔と名前は頭に入ってるんですよ」
玲央が緊張していると思ったのか、意外にも、冗談を言う口調で言う。
「へー、すごいですね」
いつものやる気のなさそうな声を出す。