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□守部くんとクリスマス
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「守部くん!見て、ほら、あのクリスマスツリー!」
「待ってください!あまり走ると転びますよ!」
お目当てのツリーが近くに見えてきた事もあり苗字名前は勢いよく駆け出した。
が、すぐにその姿が視界から消えた。
「ほら、だから言ったじゃないですか。
そんなヒールの高い靴で走ったら危ないですよ。」
ふぅ、とため息をついて守部匡治は転んでしまった名前に手を差しのべた。
「ごめん…守部くん…。ありがとう。」
転んでしまった恥ずかしさで、顔を赤らめた名前は俯きながら。
それでも、素直に差し出された手を取った。
クリスマスイブのこの日に開催された
西園寺蓮のプライベートな誕生日パーティーに招待された二人。
守部は幼い弟妹が心配だったこともあり元々顔だけ出すつもりだった。
「何だか気後れしちゃうから…私も帰ろうかな?」
と、慣れないヒールでフォーマルなドレスに身を包んだ名前に言われた時には嬉しさよりも驚きが勝った。
帰りがけに通る駅前広場のクリスマスツリーを
ついでだから見に行きたい!という名前。
守部は家が心配ではあったものの、
どうせ帰り道だということと
かねてから想いを寄せている名前と少しでも一緒にいたいこともあり、二つ返事で受け入れた。
こうして、今。
クリスマスイブの夜に、二人で歩いている。