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□妨げられた補習
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ーー小説の参考に、恋人同士のように水族館で過ごしてみたい。
どうしても、君の協力が必要なんだ。
どうしても、と言われてしまうと断れない。
それに彼の書く恋愛小説は、私も楽しみにしていたから。
主人公のモデルだと言われるとくすぐったいけれど…。
テストが終った週末の一日を恋人同士のように、軽く手を繋いだり
ご飯を食べさせあいっこして、彼と甘く楽しく過ごした。
次の日の昼休み。
逢坂は、
「昨日のお礼がしたいんだ…。
これ、昨日の帰り際、手に取ってみていたよね?
だから、これを君に…。」
そう言って、水族館のマスコットキャラクターであるアザラシのシャーペンとスマホのイヤホンジャックを手渡した。
「えっ!?いいの…?
楽しかったのは私も同じだから…悪いよ。」
申し訳なくて、一旦は断ると
「いいや、これは君が持ってこそ価値があるんだ。
だから、遠慮なく受け取ってほしいな?」
優しい笑みで言われるので
有り難く受けとることにした。
「うわぁ!ありがとう!実は欲しかったの。」
満面の笑みを浮かべる名前の横で、髪に隠された片目がキラリと光るのに気がつかないまま
名前は、早速そのイヤホンジャックをスマホに装着した。