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□2日遅れのバースデー
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(今年こそは…絶対、真山先生に渡すんだから…!!)
苗字名前の強い決意とは裏腹に時間は淀みなく流れていく。
同僚で同期の一ノ瀬先生(学くん)の
高校時代の先輩である真山先生に一目惚れしてしまってから
その独りよがりな片想いは年単位になってしまっていた。
高校生よりも奥手な自分が本当にもどかしくてしょうがないのだが、
相手は同僚の内でも鉄仮面とも揶揄されるあの真山先生だ。
教科はおろか学年も分掌も異なれば接点など無いに等しい。
職場の打ち上げなどもあるけれど、あんな強い人たちと飲めるはずもないので近づくことすらままならなかった。
でも、今年度は違う。
真山先生と同じ学年を持つことになったうえに
分掌まで同じ進路指導担当になった。
ただ、遠目に眺めるだけのそれまでが嘘のように会話が増えた。
(当然、怒られる機会も増えた。)
学くんと同期のよしみで
たまにご飯に誘ってもらえるようにもなった。
そして…土曜日だった誕生日当日に会えるわけもなく、
月曜日の今日こそ、誕生日プレゼントを渡そうと思う…いや渡す。
心の中でぐっと拳を握りしめると気合いを入れて仕事に取りかかる。
3年が自由登校になった今
空いている担当クラスの授業時間に分掌の事務作業に入った。