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□とある昼下がりの保健室 ver.真山
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「失礼します。」
「あっ、真山先生。さぼり?珍しいね。
女の子以外の病人はいやだけど
先生の暇つぶしの相手なら歓迎するよ?」
「…。」
いつも通りの軽口を叩く若桜に絶句したが、いつまでも呆れておられずとりあえず保健室へと歩みを進めた。
そこで漸く真山の方へ視線を動かした若桜は驚く。
「名前ちゃん!?どうしたの?」
「校庭で倒れたから運んできました。
呼び掛けても反応が薄いんで先生にみせようと思いまして。
とりあえず、ベッドが空いてたら横にしたいんですが…。」
若桜は空いてるベッドに案内すると、
真山はそこに名前を運んで横たわらせた。
彼女をベッドに降ろそうとした刹那ー真山が名前を慈しむように、彼女に頬を寄せたのを
若桜は見逃さなかった。
(ふうん、なるほどね。)
若桜は普段とは様相が違う真山が気にはなれど、まずは目の前の生徒の様子を観察する。
これだけ暑いのにあまり汗をかいていない。
下瞼を引っ張って眼の様子を見たあと、唇の様子を確認する。
その手付きは養護教諭そのもので
普段の「エロ保健室の先生」ではないきちんとした仕事ぶりに真山は感心した。
「うーん、軽い脱水だね。水分は…。とれそうかな?」
「丁度休憩間際でしたからね…。
あまりとれていないかと。」
そこで、若桜は真山を試してみようと思い付く。
「口移し、でどうかな?ここなら冷たいポカリもあるし。真山先生、どう?」
「…俺が、ですか?」
若桜は返答の代わりに微笑んだ。