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□熱中症
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(うーん…ここはどこだろう?この天井は…??
あれ?校庭にいたんじゃなかったっけ…??)
目覚めたばかりで働かない頭を必死に動かして。
今、自分が自分が置かれている状況を把握しようと努める。
「名前ちゃん、気がついた?」
「きゃああああ!!」
至近距離で、横から
にゅっと顔が出てきたので思わず声をあげてしまった。
一方で、大声を出された元凶は
くすくすと手に右手を当てて笑っている。
「ふふ…そんなに驚かなくても、いいんじゃないかな?」
「若桜先生っ!びっくりしたじゃないですか。脅かさないでください。」
「ごめん、ごめん。気がついたみたいだから、気になって…ね?
俺、『保健室の先生』だし。
倒れた生徒の体調は、気にかけておかないと…ね?」
そう言いながら、若桜郁人が
今度は首を傾げて覗きこむようにーーまるで、そのまま唇を奪われそうな角度で顔を近付けてくるので、意図せず赤面してしまう。
「…っ!!せ、先生っ、近すぎますっ!!」
「元気そうだね。良かった。
ここに、運ばれてきたときは
ぐったりしてたから…ね?
心配、したんだよ?」
赤面しながら慌ててのけぞる名前の初々しい反応を楽しみながら、若桜はくすりと微笑んだ。
「…?運ばれて来たって…?」
怪訝な顔をする名前に
若桜はさらりと答える。
「そう。名前ちゃんが
グラウンドで倒れちゃったから、
九条がここまで抱えてきたんだ。」
若桜の言葉に。
名前は驚きを隠せなかった。