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□聞こえる、星がぼくらを呼んでいる。
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名前は、その時横でちらりと盗み見た
白川のひどく傷ついた顔を忘れることができない。

そして、震える彼がとても痛ましく。
彼にそんな顔をさせる彼女が、とても妬ましかった。

その日の帰りに、どうにも感情を抑えられなくなった名前は
とうとう、白川にその想いをぶつけてしまった。

興奮と緊張とで何を言ったのかは
はっきりとは覚えていない。

ただ、白川が彼女を好きでも
名前は白川が好きだと言うこと。
今日の白川を見ていられない、
ということだけは伝えた様に思う。
はっきり言ってしまえば「玉砕」だ。

名前が、白川の前でぼろぼろと涙を溢すと、
泣きじゃくる名前の肩に白川がそっと手をかけた。
そのまま、名前は白川の肩に額をつける。
ーー彼も、何か思うことがあったのだろう。
ただ、二人で抱き合って泣いた。

「ごめん…迷惑だったよね。」
「いえ…何だか驚いてしまって。
僕の方こそ、すみません。」

その「すみません」はどういう意味なの?
と、確認をしたくなったけれど。
そこには触れないで。

「友達からでいいから、私と付き合ってもらえないかな?」

こんなときに言うのは不謹慎だとわかっている。
どきどきして全身が震えていたと思う。
それでも、つとめて明るく言う名前に。
白川は少し困った顔をして。
それでも、断りきれず

「友達なら…ぜひ、お願いします。」

あの、ふわりとした笑顔を名前だけに向けた。
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