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□天王山の夏休み
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「今日はここまで。
明日の補習は英語長文読解と選択理科だからと言って数学の予習復習を怠らないように。
尚、質問などはこの後受け付けるので何かあれば職員室まで来ること。
以上。」
礼をして、真山は教室を後にした。
真山が教室を出た後、それまで教室を支配していた張り詰めていた空気がふっと和らいだ。
恐らく、ここにいる生徒が皆
同様に感じていたのだろう。
(ふーっ。今日は「難しい」を通り越して「修羅モード」真山でしたね。)
芹澤はため息をつくと、購買へと向かう。
昼食のパンが買えたらこのまま学校図書館で自習を。
買えなかったら駅前で軽く食べてから学校へ戻ってこよう。
そんなことを考えながら購買へたどり着くと、夏休みでいつもよりも人が少ないそこにほっとする。
(良かった。サンドイッチがありました。
これを校庭の水辺の日影で食べてから
今日の数学の復習に取りかかりましょうかね。)
芹澤が人気が少ない噴水近くの水辺へ向かうと、そこには既に先客がいた。
(わわわっ!名前さんじゃないですか!!)
かねてから気になっていてーー三次元嫁は彼女以外には考えられない
苗字名前が、一人でお弁当を広げている。
その姿が後ろでキラリと光る噴水の水しぶきとあいまって、普段以上に輝いて見えたので声を掛けるのを躊躇う。
(ボ、ボクの天使だ!)
思わず拝みそうになったところで
芹澤に気が付いた名前が
こちらに手を降って芹澤を呼んだので
芹澤は照れながら彼女へ向かい歩みを進めた。