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□お前は俺のものだから
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(うわ…真山先生、すっごく怒ってる…。)
とある秋の日の放課後。
苗字名前は
数学教師の真山恭一郎に呼びつけられて
ここ、進路指導室へ来ていた。
名前より前にこの部屋に来ていた真山は。
椅子に足を組んで腰掛け、眉間にシワを寄せながら目を伏せ、腕組みをしていた。
「し、失礼します…。」
名前が恐る恐る声をかけると
ゆっくりとその目を見開く。
「そこに座れ。」
短く言うと、顎で正面の椅子に座るよう促した。
(怖い…本当に怒ってるんだ…ど、どうしよう!!)
びくびくしながら言われたように椅子に座ると
俯いて、膝の上でぎゅっと手を握った。
その様子を、真山が冷たく微笑んで見ていたのには気付かないまま。
怯え、今にもその瞳から涙が溢れそうな程に潤ませた目で
名前は意を決して真山を見据えた。
「ま、真山先生…。」
今にも泣き出しそうな震える声で自分を呼ぶ名前は可愛くてーーこれ程までに嗜虐心を刺激する存在はそうないだろう。
泣くか泣かないか、そのギリギリのラインをなけなしのプライドと理性で踏み留まっている…
そんな彼女をもっと見ていたくて。
ここでは止めを刺さないでおく。
「言い訳くらいは聞いてやる。
お前はあんな所で一体何をしていたんだ。」
名前の肩がびくんと小さく揺れた。
自分の言葉にいちいち素直に反応する様は本当にいとおしいが
今は彼女に反省を促すのが先だ。
抱き締めてしまいたくなる欲求を抑えて彼女の言葉を待った。