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□[ウェディング]守部匡治
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裁判官として任官された守部が配属された裁判所には事務官として名前が既に勤めていた。

高校時代に彼女へ想いを寄せていた守部だったが、伝えることなく卒業して何年も叶わぬ想いを抱き続け、漸く諦めた矢先での再会にどうしようもなく胸が踊った。
彼女は変わらぬ愛らしさで周りを暖かい気持ちにしてくれるーー彼女への想いが再燃するのに時間はかからなかった。

転機は、数ヵ月後。
彼の先輩が転勤になった時だ。
裁判官は転勤が多い。想いを伝えられず気持ちをもて余すくらいならーー

気持ちだけを伝えるつもりだったのに
こういった方面は不馴れで、
気が動転していた守部の口から出た言葉は

「ずっと、君が好きでした。
僕と…結婚を前提に付き合ってください。」

名前は愛らしい目をくりっとさせて驚いたが
二人とも気心が知れているうえに適齢期に特定の相手がいないという条件が重なり、友達からのお付き合いのはずが同僚からのサポートもあり結婚までトントン拍子に進んでしまった。

結婚して3ヶ月が経った頃、高校時代の同級生・如月斗真がサッカー日本代表に選ばれたこともあって壮行会と言う名の同窓会が開かれた。
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