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□真山先生と向井先生
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保育士体験は昼食までの間では大きなトラブルもなかったので、同じく引率の一ノ瀬と共にほっと顔を見合わせた。

園児たちはこれから昼寝の時間らしい。
すとんと眠りに堕ちる子ども、
ぐずる子ども、寝付けない子など様々でそれぞれのクラスで生徒たちは寝かしつけに苦労しているようだった。

生徒たちの意外な一面が見ることができ
一ノ瀬と顔を見合わせながらほほえましく巡回をしていると名前が実習に入っているクラスにたどり着いた。

(あいつは…大丈夫なのか?どんくさいからな。何事もなければ良いのだが。)

エプロン姿の彼女に早く会いたい。
逸る気持ちを抑えながら、あくまで同僚の一ノ瀬と足並みを揃えてその教室を覗く。
どうやら園児たちの布団を敷き終えて
、後は寝かしつけるだけのようだ。

「わ、私は…和樹さんと、一緒の布団で寝ます。」

(今、何と…?)

ーー名前が、向井と、布団を共にする、だと?

彼女の担任である一ノ瀬も隣でどぎまぎしており
真山はこれが自分の聞き違えではないと確信した。

真山と一ノ瀬に聞かれているとは夢にも思っていない向井と名前との甘酸っぱいやり取りに。
照れてしまってしょうがない一ノ瀬と、徐々に顔が強ばっていく真山がいた。

保育士体験後に学校に戻った後、
二人は向井と名前に事実関係の確認を取ることに決めた。
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