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□守部くんとクリスマス
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「そうだ。それなら、その本のレシピで僕にお弁当を作ってもらえませんか?」

守部の言葉に名前が怪訝な顔をする。

「えっ…!?そんなのでいいの?」

申し訳なさそうな名前に
守部はふわりと微笑みかけた。

「ええ。苗字さんの作るお弁当はとても美味しそうで…気になっていたんです。
あの、もし、よければですけど。
負担になるようでしたら…」

言いかけたところで名前に遮られる。

「ううん、全然!お弁当作るの好きだから。
でも、本当にそんなのでいいの?」

きょとんとしている名前はとてもかわいらしくて
守部は目を細める。

「ええ。それが、僕にとって一番のプレゼントですから。」

守部が言うと、名前はくすくすと笑った。

「うん。じゃあ、新学期最初のお弁当の日に作ってくるね。約束。」

と言いながら、小指を出す名前に照れ、戸惑いながら
守部は小指を絡める。

「「ゆびきりげんまん、うそついたらはりせんぼんのーます、ゆびきった。」」

指切りを交わし、お互いに小指を離す。

「冷え込んできましたね…さぁ、帰りましょうか。」
「うん…。あ、守部くん、見て!」

空を仰ぎ見る名前につられて上を見れば。

「雪だ…。」

ちらちらと舞い降る雪。
白い息を吐き、守部に微笑みかける。

「ホワイトクリスマス、だね。」
「ですね。」
「メリークリスマス、守部くん。」
「メリークリスマス、苗字さん。」

二人は顔を見合わせて微笑み合った。

(来年のこの日も、苗字さんと過ごすことができたなら…)

守部は、未来に想いを馳せると
夜も遅いこともあり、
他愛のない話をしながら
名前を自宅まで送り届けた。

(end )

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