text

□サクラサク
2ページ/6ページ

未だ授業中の購買は、スタッフと僅かな生徒しかおらず。
こんなに品揃えが良い購買で。
初めてゆっくりと落ち着いて買い物をすることができた。

(あっ…イチゴサンドありました!
人気のスパコロパンもこんなに沢山…!!)

結局、イチゴサンドとスパコロパンにイチゴメロンパン。
そして、500ml紙パックのミルクティーを購入した。

あまりの嬉しさについ顔を綻ばせてしまったら。
見慣れぬ店員が怪訝な顔をしたので、思わず恥ずかしくなって俯いてしまう。

授業の終わりを告げるチャイムが校内に鳴り響くと、
あっという間に購買や廊下は制服を着た生徒たちで溢れかえった。

芹澤は、既に購入してあるパンの袋が。
あの喧騒の中で争うように買わずとも既に手中にある優越感を得る一方で。
もう自分はあの制服を着て、あの和の中に入ることは叶わないという一抹の寂しさを感じていた。

そんな感傷に浸りかけた刹那。
少し離れたところから聞こえる自分の名を呼ぶ声に耳を傾けた。
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ