その連なる想いの果ては

□Episode 4.(一ノ瀬→現国)
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朝、目が覚めたら倦怠感が全身を支配している。

ゆっくりと身体を起こして周りを見渡せば、昨日まではただ愛しさと憧憬を持って見つめるだけだった存在がすやすやと可愛らしい寝息をたてていた。

昨夜の一連の出来事は夢ではなかった――一ノ瀬学は、つい数時間前の事を思い起こしてため息をつく。

憧れの先輩が、実は教師として一番してはならないことをしていたこと。
その先輩に憧れている想い人が彼に玉砕して自分にすがって泣いていたこと。
彼女への想いが抑えられずに、欲望のまま彼女の初めてを奪い何度も抱いたこと。

昨日一日で色んな事が動き、頭がおいつかない。

初めて触れた彼女は…
想像していた以上に吸い付くようで滑らかなもち肌を。
普段の清らさからは想像もつかない艶やかな表情で蕩けるような甘い声をあげ乱れる様がなんとも言えず艶かしかった。

(あっ、思い出したら…いけない!)

自分の中の雄がむくむくと反応しかけた。どうにかして鎮めないと…!

けれども、彼女の肌が恋しくなり
起こさないよう細心の注意を払いながらその頬に触れる。

あどけない寝顔が愛らしい。

彼女にとっては大きすぎる僕のボタンダウンのシャツをパジャマ代わりにして眠っている。その隙間から見える肌が昨日の情事を想起させて妙に生々しい。

例え一夜限りの過ちであったとしても、僕はきっと後悔しない――この時はそう思っていた。

「んっ…おはよ…。」

寝ぼけ眼でむにゃむにゃとしているなまえちゃんは、かわいい。
同期や他の先生たちと一緒に飲み明かしても彼女はいつも遅くまで寝ていたっけ。
そんな事を思い出しながら、おそるおそるその目覚めたばかりの身体を抱き寄せ頬に口付ける。

「んー…あれ??…学くん?」
「おはよう。」

どうやら、記憶が混濁しているようだ。
戸惑う彼女の思考を邪魔しないよう、そっと見守る。

「んっ…えっと…。
あっ!そうだ!!私、昨日…」

そこまで言って、昨夜を思い出したのであろう。
彼女はシャツの襟元を引っ張りあげて自分の胸元を覗くと、いつも身に付けているはずの下着がないことと僕が欲望のままに残した痕をその膨らみに確認した。

急に顔を真っ赤にして。僕の腕の中のその身体がガチガチに固まってしまった。

「あ、あの…学、くん…?
これは…その、私…あの…学くんと…だよ、ね…??」

言葉の代わりに徐に頷いてぎゅっと抱き締める。

「夢じゃなかったんだ…なんか、恥ずかしいな…。」

僕の背中に腕を回してしがみつくと、顔を胸に埋めた。
あんなに乱れていた彼女の、こんな初な反応も愛しい。
彼女が落ち着くまで、僕はそっと小さな背中を撫でた。
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