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□[ウェディング]真山恭一郎
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身内だけで執り行ったささやかな結婚式と新婚旅行を終え、自宅に戻った名前。
今日から始まる新しい生活に、期待と不安が入り交じり心がどこか落ち着かないーそんな日の朝。

彼のための衣類にアイロンをかけ、洗濯機を回し、フロアモップをさっとかけ、朝食の支度を終えたところで、彼は起きてきた。

「あっ、先生。おはようございます!」

言い終えたところで、名前は慌てて口をつぐんだ。

「もう俺はお前の先生じゃないだろう。」

パジャマ姿で、寝乱れた髪をしたー彼のこんな姿を他の誰かが見ることはないだろうー真山恭一郎の、朝の不機嫌さに拍車をかけた。

「うっ…。すみません。」

「まぁ、その素直さがお前の良いところだがな。」

直ぐに謝ると、機嫌を治した真山から
名前の額に柔らかい唇が降ってきた。

テーブルにつくと、さっとサーブされた朝食を規則正しく口に運ぶ。

「お前の料理の腕は確かだな。」

真山はそう言ってニヤリと笑うと
コーヒーを片手に新聞に目を落とした。

今、自分の目の前で起き抜けの真山が寛いでいるーその光景の眩しさに、名前は目を細めた。
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