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□嫉妬
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放課後、名前が職員室へ行くと真山はデスクワークの最中だったようだ。

「折角来てもらったのに悪いんだが
もうすぐ印刷が終わるので
ちょっと手伝ってもらえませんか?」

「わかりました。」

真山の後ろについて印刷室まで行き
印刷が終わったプリントを持って数学準備室へ足を運ぶ。

数学準備室に入り、プリントを置くと
真山は部屋に鍵をかける。

逃げ場のない壁際に名前を追い込むと
壁にドンと両手をつき、名前
をその場から動けないようにした。

そして、他の者には決して見せることはない
あの威圧的な物言いで訊ねた。

「お前の、あの点数は何だ?」

(うわっ…。やっぱりきた。)

「すみません…。」 

ともかく素直に謝るに限る。

しかし、真山は不機嫌なまま続けた。

「お前、俺が何も知らないとでも思ってるのか?」

何を言っているのか全く見当のつかない名前は
目をぱちくりさせながら真山を見上げる。

真山は上から、惚けるな
と言いたげな辛辣な視線を投げつけた。

「この期末試験前にお前は誰に数学を教わってた?
俺が見ただけでも、白川、九条…。
とっかえひっかえ、何を考えている?」

(まさか、そんなことで…?)

「いや、あの…。」

しどろもどろになっていると
真山がこちらからは想像もつかないことを言い出した。

「そんなに俺の気を引きたいのか?」

「いえ、そういうわけでは…。」

断じてないし、
そもそも向こうから善意で言い出してくれた話に対してその言い分もどうかと思っていたのだが…。
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