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□噂話にご用心
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「そう言えば、真山先生が結婚するんだって!?」
「嘘でしょう?あの真山が?」
「でも、かっこいいし真面目そうだし浮気しなさそうだよね〜。」
「え〜?怖そうじゃない?」
「案外奥さんにはメロメロに甘いかもよ〜!」

とある昼休みの教室。
クラスメイトの噂話を小耳に挟んだ苗字名前は激しく動揺した。

話の内容が身近な教師ーしかも、おおよそ色事とは縁遠そうな真山だからこそだろうか、
他にも気になる生徒がいる様で話に華を咲かせる生徒の輪は瞬く間に大きくなった。

(真山先生に、そんな女性がいたんだ…。)

真山とて、いい年だ。
年齢的に考えてもあり得ない話ではない。
それは、名前にだって理解できる。

だけど…。

どういうわけか胸の内がもやもやし、気分が悪くなってきた。
折しも、次の授業は噂の真山の小テストだ。

ー今、先生の顔を見たら自分がどうなってしまうのかわからない。

胸を渦巻くドロドロとした感情を何とか自分の中でのみ処理しようとしていた名前だが、人目にも異変がわかったらしい。

「ちょっと!名前、大丈夫?
顔、真っ青だよ?」

クラスメイトに指摘され、漸く自分の状態に気づく。

「うん…。何か調子悪くって…。
保健室行ってくるから、先生に次の小テストは受けないって伝えておいて?」

クラスメイトにそう言い置いて、
名前はもう耳に入れたくない真山の噂話で盛り上がるその場を離れた。
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