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□七夕祭りに出掛けよう
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学校の最寄り駅で、明神堅梧は待ち人を待っていた。

1学期の期末試験が終了した藤城学園。
試験最終日の今日、少し離れた街で開催されている七夕祭りに
以前から気になっている隣のクラスの苗字名前を誘うことに成功したのだ。

課外授業などでは、共に時間を過ごしたこともあるが
学校行事の他で一緒に出掛けるのは今日が初めてとなる。

待ちに待った、漸く念願叶っての初デート。
試験勉強以上にマニュアルを読み込み、祭の概要、人が多くなる時間帯、過去に行ったことのある者による口コミ、乗るであろう電車の時刻表、駅構内の案内図…事前に解り得るものに関しては調べ尽くしたつもりだ。
今日のデートのシミュレーションは完璧である…と思いたい。

(今日こそは、甘く濃密なとろけるようなデートを…!!)

決意をもって、頭の中でもう一度今日の段取りを復習していたところ
待ち合わせ時間ぴったりに名前は現れた。

「こんにちは、明神くん。
ごめん、待たせちゃったかな?」

ウエッジソールのサンダルに可愛らしいペディキュア。
膝より少し上の丈の清楚なワンピースに
普段よりほんのりと色づいた唇。
胸元にはシンプルなペンダントが控え目に光る。

学校での彼女とは少し違った
初めて会う私服の名前に
明神の心臓は鼓動が早まる一方だった。

(時間通りに名前さん到着。
私服姿もなんて可愛いんだ!
よし、今日は幸先良いぞ!)

明神は、心の中でのガッツポーズを悟られないよう
メガネのブリッジを人差し指で一旦上げてからおもむろに顔を上げ、待ち人に声をかける。

「い、いえっ。俺も今来たところですから。
名前さん、こっ…こんにちは。今日の君は…いつも以上に輝いて見えますね。」
「そ、そうかな…?
明神くん、今日はよろしくね。」
「ええ、シミュレーションは万全です。
とりあえず、会場まで行きましょうか?
遅くなると電車が混雑しますから、急ぎましょう。」
「うん、そうだね。」

名前は、明神に微笑みかける。
その笑顔だけで、明神は心がはち切れそうになった。
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