text

□7月2日
2ページ/5ページ

「貴様、わざわざ3年の教室に一体何の用だ?」

西園寺に言われた通り放課後3-Bへ足を運んだ名前。
あまりに空気が違う3年文系進学クラスの戸口で足がすくんで途方にくれていたら、中から九条が出てきてくれたのはありがたかったのだが…。

「あ、はい。西園寺先輩に用があって来ました。いらっしゃいますか?」
「…西園寺か。ちょっとそこで待っていろ。俺が呼んできてやる。そこから動くなよ?」
「はい!ありがとうございます!」

九条は、西園寺に名前が来ていることを告げる。
すると西園寺は名前へ手招きをして呼び寄せた。

3年文系進学クラス。やや女子が多いこのクラスで。
四天王2人に囲まれた名前は周りの視線が刺さるのを感じるが、二人はお構いなしだ。

「すみません、急にあなたを呼び出してしまって。それで話と言うのは…。」
「守部くんの誕生日のことですよね?」
「ええ。そうなんです。昨日思い出しまして。外部の会場を押さえるにしても急ですから、生徒会室か学校のサロンで何かできないかと思いましてあなたに声をかけさせていただきました。」

横で聞いていた九条が口を挟む。

「ほう、守部の誕生日祝いか。面白い。どうするんだ?」

西園寺はにっこり微笑んだ。

「それを今から話し合うんですよ?
ね、苗字さん。」

突然振られて驚く名前。

そこで、昼休みに事前に教育実習生の向井に相談してみたことを話してみた。

「…なるほど。それは面白そうですね。」
「庶民の考えそうなことだが、悪くはないな。」
「それならば、設備関係の使用許可に関しては私がなんとかしましょう。
苗字さんは、2-Aへの連絡をお願いします。」
「わかりました。」
「会場の装花は私の方で手配をします。あとは、向井先生とも話をしなければなりませんね。」
「そうですね。じゃあ、ちょっと向井先生を呼んできます。」
「頼みますよ。あと、守部には秘密でお願いしますね?」
「はい!」

西園寺はあっさりと名前のー向井の入れ知恵なのだが、提案を受け入れ
思ったより早く守部の誕生パーティーの概要が決まったことに満足をして
優雅な微笑みを名前へと向けた。

(西園寺先輩、お美しい…。
でも、3年生のおねーさまがたがこっちを睨んでてすごく怖い…。)

時は遡ってその日の昼休み。
放課後も家事に子守りに忙しい守部の時間を奪うのは気が引けた名前は、
思いきって教育実習生の向井に相談をしてみたのだ。

「お昼休みにみんなでカレーパーティーなんてどうだ?俺で良ければ作ってやるぞ?」

生徒に食べて貰えるのは教師冥利に尽きるしな、と照れ笑いを浮かべながら付け加えた向井を頼ることにした。
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ