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□9月25日
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9月25日。
藤城学園の養護教諭である若桜郁人の誕生日だ。

苗字名前は、
この日のために若桜に何を贈ろうか
ずっと悩んでいた。

本人に聞いても
「君との時間が欲しいな?」
としか言わないし。
彼と仲の良い同僚の真山先生には
恐ろしくて聞けないし。
担任の一ノ瀬先生に聞いたら要らぬ心配をされ、逆に何か諭されそうだし。

(うーん…どうしよう…。)

一応、その日は友人たちからの放課後の誘いを断ってスケジュールを空けておいた。
いつものように、若桜先生へ準備するお弁当を少し豪華に。
プレゼントには、仕事にも使えるネクタイを。
メッセージカードもつけて渡そう。

そう決めた、その日は
朝登校してすぐに保健室へと足を運んだ。

保健室前は朝のHR開始前とは思えないほど、女子生徒で人だかりができている。

「えっ!?あなたも?」
「だって、若桜先生、今日が誕生日でしょう?親に協力してもらって、お酒プレゼントしようと思って。」
「先生、タバコかお酒、だもんね〜。高校生にはハードル高いよ〜。」
「でも、若桜先生のためだし?」

…あまりの人の多さにくらくらしていると、予鈴が鳴る。

そこへ通りがかった真山先生が
「こんなところで何をしている。
早く教室へ戻りなさい。」
と、言うのでしぶしぶ教室へと戻った。
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