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□例えばこんなプロローグ
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「北城くーん!帰ろう?」
「ばっ…バカヤロウ!テメェ、学校で馴れ馴れしくすんなってんだろうがよ!」
「ひどい。で、今日はどこ行くの?」
「あぁ?今日は新しいハコが入ったから駅前のゲーセンだ。」
「うん。じゃあ、私も行く。」
「勝手にしろ!ゴルァ!だから、学校で手ぇ繋いでくんじゃねぇ!」

(わー…北城くん、彼女できたんだ。
仲良さそうでいいなぁ…。)

放課後の2-Aの教室は、1日の授業が終わった後の解放感で溢れている。
2年生の2学期ーーこの夏の間の知らないうちに何組かの新しいカップルが誕生していた。

「やぁ、今日は部活が休みになったから一緒に帰れそうだよ。」
「逢坂くん!一緒に帰るの久しぶりだね。じゃあね、名前。」
「うん、また明日。」

(あの子は彼氏の束縛キツいって言ってたけど、幸せそうだなぁ…。)

人の幸せーー特に、友人であれば尚更
は、嬉しいんだけれど。
それでもやはり、こうもあてられると羨ましく。
そして、色恋とは縁遠い自分が何だか惨めたらしく思えてきて寂しくなってくる。

しかも、今日の放課後は
先日散々な点数を取ってしまった数学の小テストのせいで
真山先生が個人的に補習をするとかで呼び出されてしまっていた。

(やだなぁ…数学嫌いだし。
真山先生、カッコいいけど怖いんだよなぁ…。)

その事も、名前の表情に陰りを落とす理由の1つだった。
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