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□例えばこんなプロローグ
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「苗字?
今日はいつもに増して集中を欠いているな?」
(うう…また怒られた…。)
先程の楽しそうな級友たちにあてられて。
羨ましさと、「補習やだ」という気持ちが前面に出ていたのだろう。
ましてや、大の苦手の数学だ。
「す、すみませんっ。」
慌てて問題を解きにかかれども、全く頭に入ってこない。
(もうやだ…何で私ばっかりこんな目に…。
私より出来ない人、他にもいると思うのに…。)
「お前、さっきから全然進んでないじゃないか。
一体、どうすればこんなところから躓けるんだ。」
「うう…すみません…。」
前を向けば、真山先生。
下を向けば、問題。
どちらも嫌で、思わず目を伏せる。
すると、真山から容赦ない叱責が飛んできた。
「お前、いい加減にしろ。
俺もお前にばかり付き合ってられるほど暇ではないんだ。」
「す、すみません…。」
口では謝った。
とはいえ、理不尽な補習に、一方的な言われように、納得いかない。
(だいたい、補習なんて頼んでないし、そんな言い方することないじゃない!
真山先生、ひどい…っ!)
ーー何でしたくもない補習をされて
こんな扱いを受けないといけないんだろう。
そう思うと、虚しくて、悔しくて、悲しくて。
涙がぽろぽろと溢れてきた。