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□1月29日
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(明日、白川くんの誕生日なんだ…。
いつも数学教えてもらったり、色々お世話になってるから…何かプレゼントしたいな。)

昼休みにたまたま図書館で会った白川と別れた道すがら。
誕生日と言う、甘くて特別な響きをかみしめながら廊下を歩く。

しかし、幼馴染み以外の男子にプレゼントなどしたことのない名前にとって。
同級生のーーしかも、付き合ってさえもいない男子に何を贈ればいいのか、皆目見当がつかない。

(うーん…どうしよう?
あ、そうだ!前にブドウ糖が好きって言ってたっけ!
…甘いもの、ってことだよね?
前にチョコレートくれたし。)

それなら、話は早い。
明日誕生日の白川のために、ケーキを焼こう!

そう決めたら。
どんなケーキにしようか、
ラッピングはどうするのか…。
色々考えることが多すぎて、
何だかとてもわくわくしてきた。

その日の放課後は、友達の誘いも断って
街へ誕生日プレゼントの材料を探しへ出掛けた。

白川のために。
型崩れしにくく、生クリームほど温度管理が気にならないガトーショコラを焼こう。
誰かのためにお菓子を作るーーしかも、誕生日とあればその想いは格別で。
彼がどんな顔をして受け取ってくれるか。

(あ、でも受け取ってくれないこともあるよね?
でも、白川くん優しいから、とりあえず受け取ってはくれそうだけど…。)

ちゃんと美味しくできるか。
白川がちゃんと受け取ってくれるか。
彼の口に合うかどうかーー

名前は、期待と不安に胸をふくらませながら
オーブンの中のガトーショコラの焼き上がりを待っていた。
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