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□2日遅れのバースデー
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「おい、今日発表の大学はどこだ? うちの生徒はどうなってる?」
振り向かなくても分かるその声の主の存在に、心臓がとくんと跳ねる。
「あっ…今速報をプリントアウトして、番号を確認するところです。」
振り返ると、すぐそこに名前のパソコンを覗きこむ想い人の姿。
(近いっ!
…ほんと、真山先生、いい匂いがする。
何だろう、この香り…
ボディソープ?それともフレグランス…?)
五感で感じうる彼の全てにドキドキしてしまって、ぽーっと見惚れてしまう。
「そうか…俺はこれから授業に入る。今日発表分の合否の確認と集計結果をaccessに入れておけ。」
「はい。」
「返事だけは一人前だな…今日中に全て終わらせておくように。」
さも当然といって風情で言う真山に思わず問い返す。
「はい?全部…ですか?!」
「当たり前だ。お前何年この仕事をしてるんだ?」
(進路関連業務は今年初めてですけど!?)
…言いたいことはあれど
口応えしようものならどうなるかわからない。
ここは、素直に粛々と受け入れ言われた通りの仕事をこなすことにした。
(それにしても…この後明日の学年会議の資料も作らないといけないのに…大丈夫かな…。)
ため息をついて、言われた仕事にとりかかる。