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□日焼けにご用心
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「うわ…名前、すごい日焼け。すっごい痛々しいんだけど…大丈夫?」

海洋実習のマリンスポーツプログラムが終わった後の女子更衣室。
思い切り海ではしゃいだ苗字名前は。
陽に当たりすぎたことで真っ赤になっている肌を見て苦笑った。

「うん…ひりひりして痛い。
夕食まで時間あるから若桜先生のとこ行ってこようかな?」
「その方がいいかも。あ、待って?若桜先生でしょ??」

友人が声を潜めて耳打つ

「若桜先生に襲われないように、気をつけてね?」
「ちょっと…!いくらなんでも…!!」
「だって、色々噂があるじゃない。」
「あくまで噂でしょう?まさかそんな…。」

友人はけらけらと笑う。
どうやらからかわれただけらしい。

(そりゃ、若桜先生は人気あるし確かにすごく色っぽいけどまさかそんな…。)

袖を通した服が肌に擦れるだけでぴりぴりと痛む名前は、その痛みに顔をしかめた。

「うーん…じゃあ、行ってくるね。」

宿舎になっているホテルの部屋に荷物を置いた後、別棟にある若桜の部屋へ向かう。

(うう…先生の部屋か。何だか緊張しちゃうな…。)

ドキドキしながら震える指で
恐る恐る部屋のチャイムを押す。

その、緊張とは裏腹に
部屋の中からは一切の反応がないことに焦り、拍子抜けした。

(もう一回押してだめならまたこよう。)

今一度チャイムに指をのばしかけたその刹那。
背後から声をかけられた。

「苗字さん?
こんなところでどうしましたか?」

聞き覚えのあるその声の方を振り返ってみれば。

Tシャツにジャージ姿の真山恭一郎がそこに立っていた。
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