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□真山先生のスケート講座
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(スケート教室かぁ…うう、大丈夫かなぁ…。)

藤城学園では、毎年遊園地のスケートリンクを貸し切ってのスケート教室が開催される。

あまりスケートが得意でない苗字なまえは、去年もあまり滑れなかったことを思い出して
来るべき行事に不安を抱いていた。

(うーん…何とかなる、かな…?とりあえず、手袋買いにいこうかな。)

ぼうっとしながら廊下を歩いていると
前から声をかけられる。

「苗字さん?廊下は前を見て歩きなさい。」
「あっ!すみません…ちょっと考え事をしていて…。」

言いかけてから、はっと口をつぐんだ。

「ほう…?考え事、ですか。
私が聞きましょう。」

(うわっ!しまった。よりによって真山先生だなんて…!!)

その人は真山恭一郎。
常に冷静で物腰も丁寧で厳格な数学教師。
厳しさで有名なこの教師が。
その担当教科が不得手なことも相まって、なまえは少し苦手だった。

(うう…真山先生に隠し事してもすぐばれるから話さないとダメかな…。)

息を吸い込んで。
思いきって、真山に打ち明ける。

「あの…実は、スケート教室のことで…。」

真山は一旦首を傾げたものの、
それでもたどたどしく話すなまえの話を最後まで聞いたかと思えば。

「…それは困りましたね。
仕方ありません。スケート教室の前に、1度、私が直接指導しましょう。」

そう言うと。
なまえの意思を確認することもなく、半ば強引に待ち合わせの段取りを決めてその日は真山と別れることになった。

(真山先生とスケートの練習なんて!
…緊張するなぁ。)
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