20000hit感謝企画

□melting love
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「寒いっ…!」

ある日のもうすぐ日が暮れそうと言う時間。
苗字なまえは藤城学園の職員駐車場にいた。

(先生、遅いなぁ…。私、時間間違ってないよね?
lineも入ってないみたいだし…どうしたんだろう?)

ポケットからiphoneを取り出して
待ち人からの連絡がきてないかどうか確認すると特に音沙汰もないので肩を落とす。
なまえは仕方なくゲームでもして時間を潰すことにした。

「おまたせ、なまえちゃん。」

ちょうどボス戦が始まったところで
待ち合わせをしていた若桜郁人に声をかけられる。

「あっ!せ、先生。こんにちは!」

ゲームに集中していたところに不意に声をかけられたのでつい慌ててしまった。
恥ずかしさに、両頬で顔を隠してしまう。

若桜は、なまえの愛らしい仕草にふっと微笑むと。
両頬にある彼女の手にそっと自らの手を重ねた。

「こんなに冷えちゃって…ごめん、待たせちゃったね?」

そう言うと、コートのポケットから取り出した缶を手渡してくれた。

「うわぁ、あったかい!
先生、これ…?」

驚くなまえに優しく微笑みかけると

「ホットココア。なまえちゃん、好きでしょう?
…冷めないうちに、飲んじゃおうか…?」

寒いときに有り難い、思わぬ贈り物になまえは顔をほころばせた。

「ありがとうございます!
いただきます。」

若桜はなまえの笑顔にほっとすると、車の助手席のドアを開ける。

「ごめんね?理事長につかまっちゃって…だから…遅くなっちゃった。
さ、乗って?」

「いえ、先生…お仕事だからしょうがないですよ。
おじゃまします。」

なまえが乗り込んだところで
二人の視線が絡むとどちらともなく微笑みあう。
若桜は彼女が席についた事を確認すると、助手席のドアを閉じ
自分は運転席につきシートベルトを締めた。

「じゃあ、行こうか?」
「…はい。」

穏やかに笑う彼女はとても可愛らしくて。
そっとその頬を指でなぞる。

「先生っ…!?」

あわてふためく様も愛おしい。

「ふふ…なまえちゃんが、かわいいから、だよ?
これでも…自分を抑えてるつもり、なんだけど…な?」

囁けば、ほら。
若桜の言葉に反応して
耳まで真っ赤に染め上げてくれる。

最近忘れていた、
女の子の初な反応がとても新鮮で可愛らしくて。
ーーそれが禁忌だとは解っていても、
踏みこまずにはいられない。

(余計なこと、考えてる場合じゃ、ない、ね。)

若桜は車のエンジンをかけると
ギアを入れ、車を発進させた。
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