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□この想いが届くなら
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「すみませんっ!…先輩の衣装が…。火傷とかないですか?」

あわてふためくなまえに対して、意外にも芹澤は冷静に対処しようとしてくれている。

「いえ、大丈夫です。そんなにダメージうけてませんから。」

大声を聞き付けてクラスメイトの北城がやってきた。

「チッ。テメェ、何やってんだよ。
ほら、ボケッとしてねーで片付けろ。」
「ボ、ボクは年上なんですけど…!」
「あぁん?何か言ったか?さっさとしやがれ。」

芹澤は慌てて掃除用具を取りに行った。
北城と二人になったなまえは、しゅんとしてしおらしく口を開く。

「北城くん、ごめんなさい…。」
「テメェのどんくささは今に始まったことじゃねぇ。気にすんな。」
「ごめんなさい…。」
「あぁん?ウゼェ。気にすんなってんだろうがよ?
大体、カップなんて他にも割ったヤツいんだろーが。」

北城はそう悪態をつきながらも、なまえが割ってしまったティーカップの破片を集めている。

(うう…余計な仕事を増やして…北城くんにも芹澤先輩にも悪いことしちゃったな…。)

3人であくせく片付けどうにかもとに戻った。
幸い、芹澤がもうすぐ放送部の当番に入るため執事喫茶の衣装はこの日はもう使わないそうだ。

ほんの少しだけ、罪悪感がやわらいだが
それでもやはり、申し訳なさからしょんぼりとしているなまえ。

「すみません…せっかく、ごちそうになったのに逆にご迷惑をかけてしまって。」

「い、いえ…!ボクはそんな!
キミと一緒に過ごせて楽しかったし。」

「へっ…?」

芹澤からの予想外の言葉になまえが目を瞬かせる。

なまえの思わぬ反応に芹澤は顔を赤らめ
慌てて自己弁護した。

「い、いや…!知らない女子の相手をするよりは、顔見知りのキミに接客できたので、良かったのであります!!」

「なぁんだ、そう言うことなんですね。」

芹澤の精一杯の照れ隠しを言葉通りに受け取ったなまえは、
満面の笑みを芹澤へと返した。

(かっ…かわいいっ!!三次元嫁キタコレ(・∀・)!!)

その微笑みに芹澤は心を射抜かれてしまった。

芹澤の内心など素知らぬなまえは、それでもやはり芹澤に申し訳なくて。

「芹澤先輩…その、メイドカフェに一緒に行く以外に…あの、何か私にできること、ありますか?
やっぱり、申し訳なくて…。
私にできることなら、何でもしますから…何か、お詫びさせてください。」

しおらしくしているなまえの口から出た言葉に、
芹澤は驚きを隠せず。

持っていた雑巾をぼとりと床へ落とした。
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