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□守部くんとお買い物
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「ねぇ、守部くんがさっきからずっと女性ファッション誌ばっかり読んでるよね。」
「彼女でもできたんじゃない?ほら、もうすぐクリスマスだし…。」
「え!?守部くんでしょ?まぁ…誠実そうだけどうるさそうだよね。私、無理!」
「いや、あんたなんてお呼びじゃないでしょう?」
「ひっどいな〜。…ってことで、なまえ。確か守部くんと仲良かったよね?」

突然話題を振られて驚く苗字なまえにその場にいたグループみんなの視線が集まる。

「えっ!?」

好奇心と期待に満ちた視線に、思わず怯みそうになる。
大体、女同士でこんな話をしていた流れだ。
なまえには悪い予感しかしなかった。

「気になるから、今度それとなく聞いてみて?」
「うん、なまえの幼馴染みの如月くんとも仲良さそうだし。」

(あれは…仲良いって、言うのかな…?)

学業に対して真剣みが足りないなまえの幼馴染みの如月斗真はよく守部に何かしら注意されているのを見かける。
しかし、とても仲が良さそうには見えなかった。

「じゃあ、よろしく!」

一方的に言われると、他愛のない話に移る。
そんなありふれた昼休みの出来事。

(あっ…守部くんが読んでるの、今日発売の最新号だ。)

守部の読んでいる本が気になり、
友人たちに断ると。
友人たちは期待を込め快くなまえを送り出した。

「守部くん、それ、今日発売のやつ?」

守部匡治は。
なまえに声をかけられてから、
はっとその存在に気がつく。
ゆっくりと読んでいた雑誌から眼を離すと決まり悪そうになまえに照れ笑いを浮かべた。

「あ…苗字さん。
そうですよね、男の僕がこんな本を教室で広げているのは…やはりおかしいですよね。」

ばつが悪そうに笑う守部が
不謹慎にも可愛らしく思えて。

「ううん、そんなことないよ。
ただ、それ、いつも読んでる雑誌の最新号だから気になっただけなんだ。」

ふんわりと微笑みかける。

守部は安堵したのか、困った様子でなまえに打ち明ける。

「実は…今度の創立記念パーティーのビンゴゲームを担当することになったんですが、女子向けの景品が思い付かなくて…。
それで、女子が一番読んでそうな雑誌を見て参考にしようと思ったんですが
やはり僕には難しくて…悩んでいたところでした。」

(確かに、私も男子向けの景品を準備することになったら悩んじゃうな…)

守部の苦労が、理解できる気がして
ゆっくりと頷く。

ふと、守部がこちらをはっとした顔で見つめているのに気がついた。

「そうだ…!良かったら、苗字さん。
買い物に付き合ってくれませんか?
やっぱり女子の目線で選んでもらう方が良いものが選べそうな気がするんです。」

守部への同情が先に来たのだろう。
突然の申し出にも関わらず

「そういうことなら…私でよければ、一緒に行こうか?」

あっさり承諾し、次の土曜日に守部と街に買い物に行く約束をした。
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