万事屋

□独占欲は愛から来るもの
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銀時の場合



どうやら俺は本当に独占欲が強いく束縛が激しいらしい。

元々自覚はあった。

普段何事にもあまり執着しないからなのか、

天の邪鬼な部分も関係してるのか、

一度認めて素直になると独占欲と束縛欲の塊になるのか。

神楽だから、かもしれねェが。




「新八、もう今日は帰ればァ?」

ジャンプを読むポーズを取り、あくまでも大人な感じで新八に帰宅を促した。

「もう、銀さん。もう今日何回も聞きました。」

空気の読める新八だからこそ洗濯ものを畳みながら俺を軽くあしらうのだろう。

「今僕が帰っても何も変わりませんよ?」

そんなの先刻わかってらァ。でも、今まさに面白くねェ世界が広がっている。

「え?なんのこと〜?銀さん良くわかんないですけどォ?」

「ハァ。銀さん、現実を受け止めて下さい。声裏返ってますよ。」

受け止めてるからこそ俺の声がひっくり返ってんだろがァァ!!



「新八ィ、今日晩ごはんなにアルか?」

「今日はカレーかな。少しお金に余裕あるし酢昆布2つ買ってきてもいいから買い物して来てくれる?」

神楽の問いにあっけらかんと答える新八を怨めしく見つめる俺は、

今朝3日ぶりに帰ってきたのに神楽に口をきいて貰えないでいる。

「か、神楽、銀さんにイチゴ牛乳も…」

「キャホー!!2つも買っていいアルか!?」

ここに俺がいないようにすら感じる。

「じゃぁ、これが買い物のメモね。」

「はいヨ!!行ってきますヨ〜!!定晴行くヨ!!」

「気をつけてね!!」


神楽に無視されるのがこんなに堪えるとは思ったなかった…。


「まったく…。銀さん、なんで神楽ちゃんが怒ってるかわかります?」

おかんよろしく仁王立ちの新八の前に正座させられる俺。

「…わかりません。」

ハァ。と今日何度目かになるかわからないため息を新八がした。

「アンタ、今回の依頼のこと神楽ちゃんにちゃんと説明してないでしょ?」

新八の言葉を聞いて俺は、ハッとした。

「…確かに。」

依頼はキャバ嬢のボディーガードだった。

4日前に家を出て3日3晩恋人として共に過ごし、

今朝方やっと解放された。

「神楽ちゃん、依頼人と腕組んでる銀さん見て勘違いしたんですよ。」



「ハァァァッ!!??」


なんだそれ!!??いつだ!?

つーか俺は神楽に見られてたことに気づかなかったのよォォ!?

3日も会えねェって思ってたのに

「銀さん。モノローグのつもりかもしれないんですけど聞こえてますから。」

冷たい視線の新八と目が合い、

「うっせッ!!ロリコンじゃねェ!!神楽にzokkonなだけだ!!」

「いや、ゾッコンって普通に言えよ。」

逆ギレしたら更に視線が冷たくなったのは俺の気のせいでしょうか?

「わかったなら、早く行って下さい。僕ももう帰ります。」

やれやれと肩をすくめて、俺にさっき神楽に渡したメモと同じ内容の紙をよこす。

それには、どこで何を買って来てと、場所の指定までしてあった。

「新八、すまねェ…。神楽と喋りやがってころ…なんて思って。サンキュ。」

一番最後に俺に宛てた言葉があって俺は新八に感謝と謝罪をしたのに殴られる羽目になった。


「いつも言葉が足りない。それでソクバッキーとかウザ男です。」

「余計事ばかり口達者で言葉にしなきゃいけないことが言えないなんて、アンタ、いくつですか?」


新八は殴った俺に言葉の暴力も投げてくる。

銀さん泣いていい?

「泣く暇あんなら、早く神楽ちゃん追いかけろよチンカス。」

新八…。今日どんだけ冷たいわけ?

「僕が追いかけてもいいんすよ?」

「行って参ります!!」

バッと起き上がり、玄関に向かう。

「迷惑かけたな。」

どーやら、新八には気持ちがバレバレのようで、

帰宅するため玄関に出てこようとする新八に聞こえるか聞こえない声でそう言って階段をかけ下りた。

カレーは銀さんが作って下さいね。

そう聞こえたので、口元が緩んだ。
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