その他

□渡る世間は偽善者ばかり
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俺の周りには偽善者が多い。

山崎なんかはそれに当てはまる。

偽、じゃない本物の馬鹿も多い。

近藤さんはこれしか当てはまらない。

そんな事をぼんやり思いながら、今日も俺は見回りに出かける、

この偽善者代表の土方このヤローと。




「おい、総悟…何してやがる?」

「俺に気にせず、見回り続けて下せェ。」

「気にするわっ!!何人の背後でバズーカ構えてんだ!!」

「人聞きが悪いなァ。土方さんが勝手に俺の前にしゃしゃりで出来ただけでさァ。」


土方さんは俺が殺さずとも高血圧でそのうち死ぬかもしれねェ。

仕方なく俺はバズーカを下げた。

土方さんはやれやれと言わんばかりに肩を落としおもむろに煙草を取りだし、火を着けた。

ゆっくりと紫煙を吐き出しす土方さんを見る周りの女共がピンクの空気を纏いやがる。

「…気に食わねェ。やっぱ死ぬ土方このヤロー!!」

そう言ってまたバズーカを構える俺。

「はァァっ!?」

その声と同時に俺は引き金を引いた。

ボォォォン

フゥ。ちっとはすっきりしたぜ。

俺の爽やかな顔とは裏腹に土方このヤローがいた場所は黒焦げだ。


「あっぶねェだろうがァァァ!!」

いつもの事ながら土方このヤローは無傷でツッコミを入れてくる。

「生きてるんだからいいじゃないですかィ 。…ッチ。」

そう肩を叩く。

「舌打ちしたよな!?今、舌打ちしたよなァァ!?」

「まぁまぁ、小せェ事は気にせずに。」


はぁと盛大なため息をついてまた土方さんは俺の前を歩き出す。


一本奥の見回りコースに入った所で、


「…そんなに俺が嫌いかよ。」


一歩先を歩く土方さんから聞こえた声に、俺の中の何かが歪んだ。


「好きでさァ。アンタこと。」


俺は土方さんを追い抜ていた。

土方さんは目を見開き、空いた口から煙草を落とす。


「…な?」


俺は言葉の出ない土方さんをしっかり見据えて


「だから、俺は土方さんを好きだって言ってんでさァ。」


俺は人生最大の告白をきっと最凶の顔でしてんだろう。


告白相手はきっと意味がわかんねェんだろう。


顔にそう書いてありやすぜィ。


「言っときやすけど、恋愛の意味でですぜィ?」

「…は?」

「土方さん眉間のシワすげェ事になってますぜ。」


そこまで言った時、俺の正面の土方さんの後ろで駆け出す音が聞こえた。

微かに見えた人影はチェケラ党の残党のリーダーらしき男だった。

もちろん指名手配中だ。


「待ちやがれ!!」


「そ、総悟!?」


走り出した俺の後ろで土方さんが俺の名前を呼んだ。


俺の背中見送る何てらしくねェですぜィ?


「チェケラ党の残党でさァ!!」


「!?、待て総悟!!」


この声を最後に俺の意識は消えた。
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