□案山子
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「ーーーーネェちゃん。これでよしなに。」

「ん。じゃぁ、ここで良い?」



廃屋の壁を背に片足を上げて湿った密壷をくぱっと開く。
じんわり潤うソコに男はゴクリと生唾を飲む。
男は即座に肉棒を取り出しソコに充てがう。


「・・・っ!!」

「はっ・・・ふっ、ん、イイッ・・・あっ」


村の少し外れた廃屋の影で男と女は淫らに腰を振る。


「や、あぁ・・気持ち・イイっ・・・」

「締まるな・・っ・・・イクっ!あぁっ!」


暫くして男は姫の腹に欲を放ち、淡々と事を終える。
”用”が済むと男は着物を整え、何も言わずそそくさと場を離れた。
残された女・姫は男が出した白濁の液を懐紙で拭い握りしめたままのビタ銭をピンと指で弾く。


「・・・次行こっかな。」


乱れた着物を整えると次の村へと移る為にそのまま砂利道へと足を進める。

その足に掛かる一本の影。
そこから出る殺気に満ちた気配にも、姫は動じない。


「・・・利吉。」


行く手を遮るのは一人の青年。
昔は姫と共に忍務をこなした事も数知れず。
しかし互いにフリーである故仕事以外で会うことは無く、外でこうして会うのはこれが初めてだった。


暫しの沈黙の後、静かに利吉が口開く。


「・・・何でこんな遊女みたいな事しているんだ?」

「・・・・・。」

「何か理由があるのか?」


ーーーー特に理由はない。

欲に奮い立つ身体をただただ抑えているだけ。

本当はお金もいらないけど男達が後ろめたさに置いて行く。


脅されて?仕事のため?そう考えてるであろう利吉の優しさが少し私には痛い。





黙り込む姫に、利吉もそれ以上何も言わない。








ーーー風の噂で聞いた。

村の外れに時々現れる女。
金を払えばずっと片足をあげてコトに及んでいる事から案山子と呼ばれている。

身体を交える以外に余計な話しはしないため女の正体は不明。
客の男が何度か後をつけ様としたが、身のこなしが軽くすぐに居なくなる。
その男に会い、詳しく容姿を聞くと頭の中に容易に姫の姿が浮かんできた。

その瞬間起きた突き刺さる様な胸の痛み。

・・・心の中のどこかで姫に惹かれていたからか。
互いに素性は知らないが、共に戦い・共に助け合い、背中を預ける事が出来た姫に。


あの頃の姫は私の思い違いだったのか。


何とか人違いであって欲しい。

そう願い訪れた噂の村で出会った女は

悦びながら男のモノを咥え込み喘ぐ姫の姿だった。


どんな理由があるかわからない。
・・・が、理由があった所で私の心の一部が弾けたことには変わりない。


こんな貴方を見るのなら。


いっそ私の手で。







 
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