*Osomatu*

□愛色に染める
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「…ねぇ、チョロ松〜」

「…ん、何?」

二人きりの昼下がり。
ソファに凭れて就活情報誌に目を通すチョロ松の横で。
漫画を読むのに飽きて、ぽすん、とチョロ松に凭れかかる。

「暇〜…」

「…そっか」

「え、ちょ、そんだけ?!構ってくれたりしないの?!」

180゚、くるりと転換。
身体の距離は0のまま、チョロ松を抱き締める。

「構えって言われたって…どうしろと…」

「ん〜…まぁ要するにいちゃつきたいのよ、俺は」

「や、意味分かんないし…」

への字口をさらに曲げて視線を逸らす。
…ったく、素直じゃない奴だなぁ。
そんな風に顔赤らめちゃって、ほんとは満更でもないくせに。

チョロ松が持っていた就活情報誌を奪ってぽいっと投げる。
そうして空いた手を絡めて引き寄せて。
更に近くなった距離に戸惑うその表情が堪らなく愛おしくなって、思わず笑ってしまう。

「っ…笑うな馬鹿!」

「え〜、だってチョロちゃん可愛いんだもん。俺馬鹿だから我慢とか出来ないしー?」

「可愛くないっ…!」

まだまだ文句ありげな唇を、強がろうとする言葉ごと塞ぐ。
一瞬びくっ、と身体を跳ねさせて、でもその後ぎこちなく俺のパーカーを握り締めてくる。
ほんと、こういうとこ可愛いんだよなぁ。
本人は無意識らしいし、もうさ、何なの。
可愛くて愛しくて、胸が幸せで苦しい。
今にも弾けそう、とか思う。

「…っ、は、長いってば…。てかいきなりキスしてこないでよ…っ」

「ごめんって〜。だって好きだなぁって思ったら止められなかったんだもん」

「…うーっ…そんなの、ずるいよ…」

俺の肩口に顔を埋めるみたいにして凭れてくる。
でも赤くなった顔を見られたくないなんてのはお見通しだ。
そして俺はチョロ松の照れ顔がとんでもなく可愛いと思ってて、更には可愛いチョロ松を一瞬足りとも見逃したくなくて、つまりは今俺はチョロ松の顔が見たい。
あ、今のって三段論法ってやつじゃね?
なんか頭良さそう、カリレジェっぽい。
という訳で頭が良い俺は、当然チョロ松がこういう時素直になるのも知ってるし、どうしたらいいかもちゃんと分かってる。
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