*Osomatu*

□I'll give you my ___.
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「けっ…リア充だらけのとこ行くとか、勇者かよ…。…俺、やっぱ猫んとこ行ってにぼしプレゼントして来る…」

「お〜、行ってら〜。サンタ帽なら押し入れにあるぞー」

「猫相手にサンタとか…被んないよ恥ずかしい…」

そそくさと一松も出ていって、部屋には就活情報誌を読む僕と寝っ転がりながらお菓子を食べる兄さんの二人。
今はチューイングキャンディを食べてるらしく、包み紙の裏にボールペンでぐりぐり絵を描いている。
幼稚園児かよ、とか思いながらまたページを捲る。

少しの間、静寂。
でもすぐに、「あ、お菓子切れた」と兄さんが呟いてよっこらしょ、と立ち上がる。
でも襖の方には向かわずに、何故かこっちに来た。
そしてそのまま、後ろに回りこまれて抱き締められる。

「…メリークリスマス、チョロ松」

「…何、急に…耳元で囁かないでよ擽ったいなぁ…」

「へへっ、…靴下とかないからパーカーのポッケで勘弁してね、はいプレゼント」

ポケットに兄さんの手が突っ込まれて、かさり、紙の音。
そいじゃお菓子取ってこよー、と兄さんが襖の向こうに消えるのを見送ってからポケットに手を突っ込む。
プレゼントとやらの正体を確認すれば、それはチューイングキャンディの包み紙。
何だよ、と思いながら裏返せば文字。

[今日、銭湯の後二人で抜けよーぜ]

ご丁寧に下手くそなハートマーク付き。
ちょっと嬉しくなった自分は見ないフリして、抜け出す口実を考えることにした。

*I'll give you my ___.*

(長男サンタ様は松野家三男に限って愛でも何でもくれてやるけど、お代として心を頂きますよー)
(…もう奪ってるクセに…)
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