短編*歌い手
□ショートケーキ
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『むかつく』
わざと聞こえるように、そう呟いた
私のつぶやきを聞いて苦笑いするのは、
お歌が上手い私の彼氏、luz
「またなにか、あった?」
『…………』
むぅ、と膨れる
私たちは今、喫茶店に来ているのだけれど、
先ほどから、女性店員がチラチラと彼を見ては顔を赤く染めている
私はそれがとても腹立たしい
でも、言えない
私は『あまのじゃく』だから
治すべきだとは分かっているけれど、
素直に言うのはやはり抵抗があるのだ
「そんな顔しないの」
優しく微笑んで、るすは膨れる私の頬を撫でる
『…………』
嬉しい
けど、やっぱりむかつく