短編*歌い手
□immortelle
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僕の彼女は、病気だった
重い、重い病気
治療法も見つかっていなくて、
ただただ体が蝕まれて死ぬのを待つだけだった
ちょっと前までは、元気だったのに
何が原因で病気なんかになってしまったんだろう
『かいん君、今日も来てくれたのね』
真っ白なベッドに横たわる、
真っ白な肌の彼女
読んでいただろう本を置いて、
僕を見てやんわりと微笑む
健康的で、元気いっぱいな笑顔は、
そこにはもうない
「なまえに、会いたいからね」
『ふふ、私も』
この愛らしい微笑みが、いつ見れなくなるのか分からないから
そんな言葉を、推し固めた