短編*歌い手
□放課後の教室
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「…………」
ガラッと、教室の扉が開く
静かな足跡だけが、教室に響いた
「……なまえ、」
控えめに名前を呼ぶ声
何度も私を応援してくれた、まふ君の声
「力になれなくて、ごめんね、」
優しく、頭を撫でられる
ふるふると、首を横に振った
『違う、私が、』
私が、もっと努力していれば良かったんだ
今更、そんなの言い訳にしかならない
思って、とっさに口をつむぐ
『ごめんね、応援してくれたのに、』
期待に添えなくて、ごめんね、
力なく呟くと、頭にあった彼の手は、
私の頬へと移動した