短編*歌い手
□放課後の教室で、
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周りの生徒が帰っていき、だんだんと静かになる教室
動いていた暖房も止まって、とても寒い、放課後の教室
「ごめんね、」
『…………』
「僕のこと、嫌いならそれで良いよ
僕のせいで苦しんでるなら、」
『嫌いなわけ無いでしょ』
「…………っ!」
うつむいていた彼女の顔が上がり、
その瞳がまっすぐに僕を捉えた
『私ね、振られたとき、
まふ君があんなに応援してくれたのにって、
期待を裏切ったことの方が、ずっと辛かったの』
「………………」
『何でだろう、って考えて、やっと分かったよ』
淡々と話す彼女の顔が赤いのは
寒さのせいか、それとも……