Out of eden

□これが私の実力
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「……ふわぁ……」

 とある日の午後。
 眠い……。さすがに徹夜でデッキの調整はやり過ぎたかな。
 学校の勉強は簡単過ぎて退屈だし。眠らなかった自分を褒めたい。

「……ま。だからって、積極的にデュエルはやらないがな」

 LDSに見つかると面倒だからな。
 LDSのとある奴――アイツの勧誘がひどいんだよ。
 俺は……絶ッ対にLDSには入らねぇッ!!! 絶・対・にッ!!

「……ん?」

 そうこうしている内に、耳の中に、なんか……争ってる声が入って来るような?

「……工事現場?」

 辺りは人気が少ないし、そっちの方から聞こえる。
 何となく気になった私は、そっちに足を運んでみた。

「確か……こっちから……」

 だんだんと近くなってる。言い争っている声がはっきりと。

「……ん?」

 声が大きくなったな……。
 壁に身を寄せて、そっと覗いてみる。
 ……そこ。「家政婦は見た!」とか言うな。

「……返せ! それは私たちの物だ!」

「うるさい! LDSのエースだからって調子づきやがって!」

 見れば中学生くらいの女子一人と男子二人。
 それにデッキを巻き上げてる高校生――しかも私がこれから通う学校の生徒かよ――が一人。
 あ。要するに、典型的ないじめっ子って奴ですね。わかります。

「LDSのガキが……デッキが無ければ何もできねぇくせに」

「くっ……」

 デッキをデュエルディスクごと取られたのか。
 うわあ……やること大人気ないなあ……。

「ふざけるな! 貴様らではろくに扱えんくせに!!」

「なんだと!?」

 女子の怒声に反応して、胸ぐら掴んで拳を振り上げる。

 バシッ。

「な……!?」

「え……?」

「……った。痛いじゃないか。手のひらが痺れる」

 あ。ヤバい。と思った時には既に動いていた。
 とっさに女子と男子の間に入り、その拳を手のひらで受け止めた。
 格闘技を多少かじっているからまだいいが……痛いものは痛い。

「おまえ、高校生だろ。何年下のガキ殴ろうとしてんだ」

「う、うるせぇ! おまえもガキだろうが!」

「服装見ろよ。私、高校生なんだけど」

 突然現れた私に驚きながらも怒鳴り返してきた。
 まあ根性はありそうだな。いらん根性だが。

「……いや、そんなことはどうでもいいな。単刀直入に言う。今すぐぶんどった物をこの子たちに返せ。さもなくばボコボコにするぞ。デュエルかリアルファイトか、どっちかで」

「んな……!? ぐぐぐ……っ!!」

 ノンブレスで言い切った。言い切ってやった。だって腹立ったんだし。
 不良な奴らなら問題ないだろ。……多分。
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