涙のち晴れ
□始まりの記憶
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---白石side--
2年、夏に入る前にそいつは転入してきた。
そいつの名前は綾瀬美月。
第一印象は気の強そうな、冷めた感じで、目つき悪いし制服はすでに着崩されており、見るからに不良って感じやったけど
その第一印象もそいつの自己紹介でかき消された。
「えーっと、不動峰中から来ました綾瀬美月です!運動や体を動かすことが大好きです!!でも体育苦手です!ヤル気だけあります!!!
そして___
大人気アイドルMASATOが大好きです!!!結婚も出来ます!!」
「......いや、彼が無理なんやないか?」
「なにっ?!!!」
「なぁ白石、おもろい奴転校してきたな!」
「せやなぁ〜...」
何やえらいの転入してきたんやなかろうか。
第一印象から外れ、テンション高いわ、何や残念な奴臭がぷんぷんする。
「まぁ、話すの好きなんで皆絡みにほしいでぇーす!んじゃあ適当にシクヨロ〜☆」
最後にウインクとピース付きでそいつの自己紹介は終わった。
「んじゃ、綾瀬の席は白石の隣な。後ろに江上も…ってアイツは?」
(((ビクッ)))
クラスの女子全員が先生の言葉に反応した。俺の隣って言うたからや。
転校生をおもっきり睨む女子達…
転校初日から目付けられたな、可哀想に。
「....加奈子ちゃんは家の用事で遅れるって言うてたぁ〜」
「んー.....、そか、まぁソイツこのクラスの委員長やから何かあれば聞けよ〜」
「いえっさー!!!」
「「「「「「「「「ブフォッッ!!!」」」」」」」」」
そいつの返事にクラス全員が、吹いた。本人の頭の上には???が飛んどるけど。
何や、確かに面白いの転校してきたな。
気に入ったで。
「俺、白石蔵ノ介や。これからよろしゅうな。」
「あぁ、うん、よろしく。」
綾瀬さんは周りが何や気になるんかめっちゃきょろきょろしとる。
まぁ、女子の視線が落ち着かんねやろ...
分かるで。痛いほどわかる。
「あ、せや。綾瀬、お前委員会と部活今日中に決めとけよ〜。」
「え?!!今日中?!マジか!!でm「マジや。決まったら俺のとこ来るように。以上!HR終わり!解散!!」
「....え、逃げた?」
「....お疲れさん。」
「おう...。」
何かを察したんか、はたまた何や諦めたんかそいつは出ていった先生の後をしばらく目で追っていた。