disconnect

□2話
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自分の部屋の天井と同じくらい見慣れた天井をミソラは見つめていた。
 定期検査、という名目でラチェットの元にミソラは月に一度訪れていたのだ。本当はもうそんなことなどする必要など無いのにと思う反面、習慣とは恐ろしいもので定期検査がないと妙に落ち着かない。
 それはラチェットも同じだったようで、互いに何も言わずにこの定期検査を再会したのだ。その時の彼の顔を思い出したミソラはクスクスと楽しげに笑う。

 『なにかおもしろいことでも?』

 「慣れって恐ろしいなぁって思っていただけ」

診察台から身を起こしたミソラは部屋の隅で仕事をしていたジョルトの姿を見つめる。
 彼もまた無事に蘇ったのだ。
 再び再会出来たことを喜ぶ反面、彼は少しだけ複雑な面持ちをしていた。

 『ミソラさん?』

自分を見つめたまま黙っているミソラに対し、ジョルトが何かあったのかと思ったらしく名前を呼ぶ。
 何でも無いと言うかのように笑いながら首を振る。

 『体調が悪くなったらすぐに言って下さいね?俺に言えなくても、先生に言えばきっと何とかして下さいますから』

 『おやおや、随分と人任せじゃないか』

肩をすくめたラチェットの言葉にミソラは目を細めて笑う。
 しかし、その笑みはすぐに消えてしまった。思い詰めたかのように視線が足下に落とされたことから、ラチェットとジョルトはミソラが何を言おうとしているのか悟る。

 「ラチェット」

 『・・・依頼されたものはすでに準備を終えている。後はタイミングだな。最後の蘇生者であるジャズを蘇らせた後、話すのが一番良いだろう』

 「やっぱりそうだよね」

問題はオプティマスが提案を受け入れてくれるかだ。
 そして、他のオートボット達がディセプティコンの復活を認めてくれるのかだ。

 『俺は反対です。奴らのしてきたことは許されたことではありません。蘇ればまた、戦いを始めます・・・オールスパークを宿すミソラさんを狙うのは明らかです』

毅然とした口調でジョルトは告げる。
 ジョルトがこの計画を知ったのはラチェットが話したいと告げたからだ。自分が動けば必然的に誰かの目が向けられる。故に、自分の代わりに動ける者をラチェットは探したのだ。そして自分の意思をある程度理解してくれるだろうジョルトに話すことを決めたまでは良かった。



 『ディセプティコンを蘇らせる?先生、正気ですか!?』



らしくもなく声を荒げたジョルトはラチェットに食ってかかったのだ。
 ラチェットは焦ることなく冷静にジョルトを説得し、ジョルトは納得してはいないが協力してくれることとなった。

 『俺が協力をしているのは奴らが少しでもおかしなことをしないようにするためです』

きっぱりとわかり合えないと言うかのようなジョルトの言葉にミソラは静かに目を閉じた。
 他のオートボット達も恐らく皆、ジョルトと同じような発言をするだろうことは明らかだ。計画を知っているディーノは未だ沈黙をし続けている。
 味方の数は圧倒的に少なすぎる。

 「・・・ジョルト」

名を呼ぶのと同時に目を開き彼を見上げる。
 青い外装はオプティマスとは違う色合いをしている。

 「貴方が納得していないことは解っている。でも、協力をしてくれてありがとう」

にっこりと微笑みながら告げた言葉にジョルトは調子が狂うと言いたげに視線を逸らした。
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