Over
□3話
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人の姿に戻ったティスランドは偶然を装ってサム達と合流をした。
驚いていた彼らに対し、白いロボットが現れてから隠れていたのだと誤魔化し、その後、そのロボットによってここまで送ってもらったのだと告げた。
「そっか、あのオートボットがいてくれれば助かったんだけどな」
「強かったものね」
サムとミカエラの言葉を聞いたバンブルビーが文句を言うかのように電子音を出す。まるで拗ねた子供のようだとティスランドは思うとバンブルビーにそっと近づき話しかける。
「彼らは手が多い方が良いと言うだけだろう?」
『”アンタなんかに彼は渡さない!””このッ泥棒猫!!!”』
不機嫌そうなバンブルビーの発言にティスランドは驚いたように青い目を開く。
まさかこのような返答をされるとは思っておらず、無言のまま瞬きをすることしかできずにいた。
そんな二人に気づいたスキッズとマッドフラップがニヤニヤと笑いながら近づいてくる。
『なんだなんだ!?』
『痴話喧嘩か?』
ケタケタと笑う二体に対し、ティスランドはこの緊迫した状況で良くそんな事が言えたものだと呆れていると、ビークルモードだったバンブルビーがトランスフォームをすると、今までの理不尽さを訴えるかのように、一言で言うのならば八つ当たりをするかのように容赦なく鉄拳を二体の頭に落とす。
『『いってぇ!?』』
『”黙っていろ、小僧共!!!”』
やってやったぜ、と言うかのように腕を組んだバンブルビーであったが深夜遅くの騒音は彼が考えているよりも大きなものだった。
そのことに気づいたサムからお叱りの言葉を受けたバンブルビーはシュンッとした雰囲気になるとビークルモードになる。
サムが再びミカエラと話し始めたのを確認したティスランドはバンブルビーの後部座席の窓をノックした。
「何が起こっているのか教えて欲しい」
『・・・・”乗れ”』
ガチャリと開かれた後部座席の中にティスランドは乗り込む。
ドアがロックされるのと同時に社内の音が外に漏れないように妨害電波を出す。外では双子が何やらレオを巻き込んで騒いでおり、そんな二体と一人に対しサムが何かを必死に言い聞かせている。
「任務の途中なのにすまなかった。投げ出すようなことになってしまって・・・」
『”彼には私がいるもの””アンタなんてお払い箱よ”』
「そうか。そうかもな」
『・・・・”言い過ぎた””正直なところ、俺は気に入らないんだ””私がいるじゃない!?””俺を置いていくなんて甘いぜ!?”』
「つまり護衛の件に関して怒っているのか?」
『”その通り!!”』
ぱちぱちと拍手の音が響く。
事前情報では新入生は車を持つのが禁止という規則があるらしく、バンブルビーはサムと別れていたらしい。
自分がサムを守りたいのにそれが叶わない中、新入りがサムの護衛に着くとことを知ったバンブルビーは怒り狂った。
表面上は大人しくしていたが、新入りからの定期連絡に出てくるサムの名前を聞く度、イライラが募り、オプティマスがサムと話をするというのを口実にサムに会いに行ったのだ。
『”私は貴方を認めない”』
バンブルビーも戦士だ。
自分に任務があるように、ティスランドにも任務があるのだ。それを解っているからこそ今、何が起きているのか説明をする。
所々にサムの護衛の座は渡さないという言葉を入れて。