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□７話
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ジャズとの軽い喧嘩に対してオプティマスが下した決断は少しの間、基地から離れて頭を冷やすようにとの事だった。
随分と甘い罰だと思いながらもティスランドは素直にその命令を受け入れる。
『基地から離れている間はバンブルビーと共に行動をしてくれ』
『バンブルビーとですか？』
『あぁ。バンブルビーにはサムの護衛を命じている』
『司令官・・・それは私にとって罰とは言えないものでは？』
てっきりＮＥＳＴ部隊と共に長期任務に就くか、もしくはディエゴガルシア基地に戻るのだろうとばかり思っていたティスランドだったが、意外な場所に派遣されることに対し疑問の声を口にしてしまうのは仕方の無い事だった。
『コレは個人的な見解なのだが良いだろうか？』
『はい。構いません』
『君はもう少し力を抜くことを覚えた方が良いだろう』
苦笑を浮かべながらオプティマスはティスランドの肩を軽く叩く。
それが労いである事に気づいたティスランドはどう答えれば良いのか解らず沈黙する。
ティスランドにとって当たり前だと思っていた事が、第三者からしてみれば無茶をしているかのように見えたのだろうか？そう感じた時だ。
『すまない。何と言えば良いのだろうな・・・私も以前、そう言われた事があるのだ』
『司令官に対し？それは一体誰ですか？』
随分と失礼な奴が居た者だ、と言うかのように青い目を少し細めてティスランドが告げるとオプティマスは苦笑浮かべながら教えてくれた。
『サムだ』
出てきたのが人間の名前であったことに驚いたものの、サムならばある意味そういった発言をしても可笑しくは無いなとティスランドは密かに思った。
『最初こそ私も言われた意味を理解することが出来なかったが、人とふれ合うことでその意味を理解することが出来るようになった』
『・・・私をサムの元に派遣するのは人間と触れることで得るものがある、と思ったからなのでしょうか？』
『あぁ。そうだ。君が人間とのコミュニケーションを得意としていることは私も知っている。だが、君は人間達と本音で話し合うことはしていないだろう？そして、我々とも一定の距離を保った関係を築いている』
その発言を聞いた瞬間、ティスランドは青い目を見開いてオプティマスを見つめる。
誰にも気づかれてはいないと思っていた。
ジャズすら解っていなかった事をこの司令官が見抜いていたことに対し、ティスランドは何かを言わなくてはと思いながらブレインを凄まじ勢いで動かすが何一つとして有効的な言葉は出てこない。
『責めるつもりは無い。誰にだって人には言えない事はあるのだから。・・・サムと接することはきっと君にとって良いことに繋がるだろう。今よりも君を成長させてくれる結果になると私は信じている』
肩に触れていた手が離れていく。
それをただ黙って見つめる事しかティスランドには出来ない。
『司令官。先程の発言を撤回します。・・・この罰は私にとってとても重いものです』
困ったような音声でそう返すとオプティマスはキョトンとした顔をした後、満足そうに微笑みながら一つだけ頷いた。
『それからジャズに関してだ。君達の問題だから静観していたが、最近のジャズは今までよりも君に対して過保護になりすぎている。故に少しばかり離れた方がお互いのためになるだろう』
『つまり将校殿はここでお留守番ということですか？』
『そうだ。お留守番だ』
にんまりと笑ったオプティマスの姿を見たティスランドは少しだけジャズに同情する。
きっと彼はこれから毎日、書類仕事やら、オートボットが起こした問題に対する尻ぬぐいに追われるだろうから。