パパと呼んで
□７話
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フォールンの家で一夜を明かした若葉はメガトロンと会うことはなかった。
朝から何やら重要な会議があるらしいとフォールンから言われた若葉はメガトロンがつくってくれた朝食を食べ終え、食後のお茶を飲みながらフォールンと他愛ない話をしていたときだ。
ドアをノックする音が部屋の中に響く。
「やれやれ・・・楽しい時間とやらは終りのようだ」
「フォールン様？」
どういう意味だ？と言うかのようにフォールンの名を若葉は呼ぶと、フォールンは困ったように微笑みながら若葉の頭を軽く一撫でするだけで特に何の説明もしないままドアへと向かっていく。
何やら玄関先で言葉を交わしていたフォールンだったが、戻ってきた彼の背後には見慣れぬ人がいた。
フォールンのすぐ後ろにいた女性は高そうなスーツをきっちりと着ており、凜と伸ばされた背筋、女性にしては少しばかり鋭い目つきをしているその人は明らかに軍人では無い。現れた女性は無言のまま若葉を数秒だけ見つめていたが何事も無かったかのようにそっと視線を逸らす。
女性に続いて姿を見せたのはレノックスで彼の目には光が無く死んだ魚ようだった事に気づいた若葉はレノックスの身に一体何が起きたのだろうか？と不安になり大丈夫だろうか？と思いながらレノックスを見つめていると、若葉が自らを気遣ってくれている気づいたらしいレノックスが小声で何かを呟きながら目頭を手で覆うと天井を見上げたきり動かなくなってしまう。
そんなレノックスに対し絶対零度の視線を向けた女性はため息を一つこぼすと、若葉の方へと視線を向けると口を開く。
「彼女から貴方の事は聞いています」
素っ気ない声音がした言葉に若葉は驚き目を見開く。
少しばかり発音が怪しい感じではあるものの、聞き取りやすい日本語で話しかけられた若葉は目の前にいる女性をジッと見つめる。
「私はシャーロット・メアリング」
その名を聞いた若葉が彼女の名前に聞き覚えがある事に気づく。
どこで聞いたのだろうか？必死に記憶の引き出しを開けていた若葉はある引き出しを開けた時この女性が誰かなのか思い出す。
「やだわ。シャーロットったら随分と気を遣ってくれたみたいね」
この島に来るときに乗った豪華な内装をしている飛行機に乗ったとき、母が口にした女性の名前がシャーロットだったのだ。
まさかと思いながら若葉がメアリングを見ると彼女は静かに頷く。
「飛行機の手配をして頂きありがとうございました」
「気にしなくて良いわ。私は私に出来る事をしただけですから」
素っ気ない口調で返された日本語。
それを聞いた若葉は驚きながらもメアリングへと声を掛けていた。
「日本語お上手なんですね」
「貴方の母親のおかげで話せるようになったわ。彼女からはまだまだだと言われているけれど・・・色々と話したいこともあるけれど、私は忙しい立場にいるの。悪いけれどあまり時間を無駄に出来ないから単刀直入に言わせて頂くわ」
左手首に着けている高そうな腕時計が示す時刻を確認したメアリングはフゥッとため息を一つ吐くと若葉へと視線を向ける。
「急な話になるけれど貴方にはこれからすぐに日本へと帰国して貰います。すでに飛行機の手配も済んでいて、メガトロンの家にあった貴方の荷物もすでに飛行機に積んでいるから、貴方はこのままレノックス大佐と共に飛行場へと移動してもらうわ」
「え？」
あまりにも突然すぎる展開に若葉は何を言われたのかすぐに理解が出来なかった。