刀剣乱舞

□ソノハチ
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本丸では

突然消えた掃除屋を探していたが見つからず、とりあえず夜ご飯を食べようということになっていた


「…本当、どこ行っちまったんだ?」

と、鶴丸が呟く


あいつがいなくなって丸二日
短刀達の元気がなくなっていくのがよくわかる


「…さて…逃げ出したわけではなかろう。輝夜を置いて行くはずがない」



現在、みなが集まっているのは大広間
掃除屋が消えてからは何故かみなが怖がって大広間で生活するようになった



今日もあやつは帰ってこず……

鶴丸と二人で部屋に戻ろうと、立ち上がろうとした時であった


バンっと大きな音をたて、障子を開けた人物に目をやる

そこには見慣れぬ女子が此方を凝視して立っていた


「……掃除…屋…か?」


顔をまじまじと見てみると雰囲気が似ている
髪を下ろし、女物の服を着ているせいでほとんどの者は気づかなかったようだが


『うん、そうだよ』


「なっ、掃除屋…?」



他の刀達もこれには驚いているらしい


しかし、薬研と五虎退は掃除屋に向かって刀を抜いていた



「…お前誰だ」

「掃除屋さんの気配じゃないです」



『…ん、知らない。それより』


掃除屋はスルリと三日月の首に両腕を回し、顔を近づけてこう言ったのだ


『…ただいま、三日月』


三日月は掃除屋が可愛らしいと思っていた


女だとは知っていたが…まさかここまで化けるとは


だが先程の掃除屋の台詞で三日月は気付いた
伊達にうん千年生きていない
気配が違うことくらい、分かる



「お主…まさか、○○では……」



『やっと気づいてくれたの?ひどいなぁ三日月は
俺はずーっとお前を見ていたのに』


隣にいる鶴丸もどうやら気が付いた
他の刀達は掃除屋の台詞が訳が分からず頭を悩ませている


『…やっと…やっと体が手に入ったんだ
ずっとずーっとお前にもう一度会いたいと思っていた
ほら、女の体を手にいれたんだ
これで子供も作れるだろう?』


「おい、まさか、本当なのか?
お前、○○なのか…?」


『ん?ああ、鶴丸か
500年ぶりだね、君達に会うのは


そして短刀達



俺を殺しても俺は死なない
死ぬのは、この子の体だよ?
殺しちゃってもいいけど、あの子は二度と戻らないかもね』


返す気ないけど。と可愛らしく宣言されても納得するわけがない
が、掃除屋を殺すと聞いて薬研と五虎退は刀を大人しく鞘にしまった


『うん、よく分かってるね』



正直、三日月は動揺していた

最愛の人が戻ってきてくれたのは嬉しい
でも顔や体は別人のもの

俺はどう対応すればいい


しかし、あやつはどこに消えたのか?
戻ってこられるということは魂は死んでいないということだろう

またもう一度会えたことは嬉しいが


体は持ち主に返すべきだ

そう、伝えようとした


だが


『今日は一緒に寝ようね?三日月』



やはり、一度愛し、恋い焦がれた人を目の前にして
本能と本心を押さえつけられるほど俺は出来た刀ではない



気づけば「ああ」と頷いていた
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