もう一人の人生編 参

□第拾捌話【寝床確保!!】
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今日は待ちに待った布団一式がきましたよ!!
しかし一報が入ったのは昨日の夜のこと。

何時頃来るとかを彼女は聞き忘れ、必死に部屋を片し ようやっと布団一式も届き現在は寛いでいる真っ最中です。

...ふう、途轍もなく大変でしたね








『......(ほお、地獄とは閻魔と呼ばれる亡者が居られるのですか。おや?黄にいずみと書き、何と読むのでしょうか)』


「うおっ好きな夢小説更新されてんじゃん!!」







最近の私のお気に入りの読み物、それは"地獄"と言う、この日本にあると言われている伝説上?の物です。
仮想空想とも言われているみたいですが、夢があって楽しいですね

...この閻魔という方を、今無性に殴りたい気分になっていますが。






『...あの、すみません。これは何と読むのですか?』

「んー?どれどれ。あーこれはね、よみ(黄泉)って読むんだよ」


『(黄泉...仮想とはいえ、どんな処なのでしょうかね)..では、これは?』

「んー?これはね...阿鼻地獄かな?..ってこれ何?先から普通は使わない単語しか聞いてこないね!!?」



『(阿鼻地獄...地獄の最下層に位置する、全ての地獄が天国に思えるような場所。)』







彼女は私が今見ている物が気になったのか、布団から身を乗り出し私の布団へと横断してきた
チラリと見やれば、物凄く体をくねくねしてて正直言って気持ちが悪い

まあ、それ程までに気になっているのでしょうけど。
...あ、今吉良の上渡れますかね?








『...昨日吉良が仕事へ行っている間、本棚を漁っていたらこれが出てきたのです』


「...そんな本あったんだ。正直あったのかも知らなかった。よく見つけたね?」

『吉良が買ってきて下さった本はもう全て、読んでしまって...』










昨日の出来事を思い返す


あれはお昼時過ぎだったはず。
洗濯物も取り終え、昼餉も済ませ勉強する書き取りも飽きてしまい、どうしようかと悩んでいた






『――――――...そうだ、書庫漁ろう』





THE 京都へ行こうを彷彿とさせる程の爽やかぶりで一人言ってのける
本棚は確かこの廊下の(リビング側から見て)一番奥のトイレの隣だったはず

実はこの家屋、書庫兼物置部屋が存在する
勿論リビングにも、寝室にも大きな本棚はあるのだが。







ギイ―――――――




『げほっごほ...埃っぽいですね。余り使ってはなさそうですね』




扉付近にあるぼたんを押すと、薄暗くはあるが光が中を映す
辺り一面、本、本、本、一部箱がありますね
読み物の宝庫じゃないですか

近場にある本棚から、一冊取ってみる
埃被ってはいるが、状態自体は何ら問題なさそうだ





『この本...【地獄特集〜地獄の詳細あれこれ〜】ですか。』





たいぶ分厚くはあるが、読み応えはありそうだ。
パラパラと捲っていくが...何やら難しそうな文字が連なっている
これが、丁と地獄の本との出会いである。

以上。






『―――――...閻魔という方は、とても怖い顔をされているのですね。』


「んー?そうねえ...でも、いつもこんな怖い顔してたら何れシワクチャだらけになるかもね?」


『(...確かにそれは一理あるかもしれない。)』






彼女は何故かニンマリとした笑みをし、口を手で押さえている






『成程......確かに日常的に考えると、有り得ませんよね。常に怖い顔をする等。それに召使の人にも敬遠されそうですし、』


「そうそう!!...実際の閻魔様ってもしかすると、温厚でちょっと太ってたりして!!」


『(それは過労で爆食いしてるだけなのでは...?)』










プルル プルル―――――――――




考えを巡らせていると、遠くではあるものの何処かからか妙な音が鳴り響く
この頭に響く音はなんでしょうか?

非常に喧しいことこの上ありません!!








「...こんな時に誰よ。全く」


『っこの音はなんなのですか?』

「あー...そうね。でんわっていうモノが音を発してます」


『(でんわ...確か昨日もその単語を彼女使ってましたよね)..用途は何ですか?』







耳を塞いだまま、首を斜めに傾け周りを見渡す
この部屋にはなさそうだ。
では一体何処から?







「遠くにいる相手とお話ができるんだよ。...電話は大きい部屋にあるよ?」

『見ていてもいいですか?』

「いいよー別に楽しくも何ともないと思うけどね」







彼女がようやっとでんわがある部屋へと向かいだした
その後を彼女を見上げながら追いかける私。
音は一向に鳴り止む気配がない

非常に五月蝿いです!!









「...誰よ。しつこいな」

『?(何故吉良はあんなに苛立っているのでしょうか?)』






ガチャッ






「はい。もしもし要野です。」

〔"あ!!先輩っお疲れ様っす!!"〕



『!!?(なっあんな小さなモノから人の声がっ!!)』







驚いた と同時になんか苛立った

そして彼女もまた、何故か顔が険しいものになっている

物凄く鬱陶しいと言わんばかり。

...大丈夫でしょうか。閻魔のようにしわくちゃなお顔にならなければ良いのですが。
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