もうひとりの主人公編 弐

第拾伍話【探索1回目】
3ページ/4ページ










――――――――『...はっ』




気づけば、日が少し高くなっていた
私は一体何時程寝ていたのだろうか

奥へ引っ込み、丸いとけいというものを見れば
今現在針が指し示している場所には
12と言うところ

...丁度昼程と、いうことでいいのでしょうか?
あの丸いものの真中ですので..






『...いい機会ですし、あの機械を使って何かやってみましょうかね』




"冷蔵庫"と貼られている大きな物体の扉を開けると、中には見たこともないものが沢山――――とまではいかないが、詰め込まれていた

しかし、まず何から手をつけていいのやらか...
そして何を作ればいい?
あ、昨日食べたあのふわふわして黄色いご飯は?

でも材料がわかりませんね...







『見た目からすると...――――――わかりませんね』




私の時代には、あのような真黄色の色をしたものなぞ存在していない
肉といえば、鹿肉か猪肉...あるわけがありませんよね?
こんな画期的なところになぞ。


色々と中を覗くも、何が何やら全くわからない
どうしたものか...





『...うん?あの白くて丸いのは何でしょうか?』




慎重に慎重にその白いもの(卵)を取る
何やらザラザラしている。振ってみれば...何もない

...仕方ない。何か使えそうなものは使ってみましょう





『他に使えそうなものは...あ、この緑の葉物は何でしょうか』




緑の葉物(ほうれん草)を手に取り、うんと頷く。
これも使えそうだ

...あとはこれをどうして、吉良さんのように作れるだろうか





『何か...彼女がいつも使っていた、あの黒くて重そうな物は――――――あっこれですね』





冷蔵庫の横の机の下の戸を開ければ、彼女がいつも使っているアレ(フライパン)を発見!!
これで、あのあいえぃぢとやらで何かできるはず





『確か吉良さんは...これをあの上に乗せ、何かを中に垂らしていましたよね』





要は油である
だが、そんなものがどこにあるかなど教えてはもらっていない...
片っ端からいろんな戸を開けてみる

水場の下の戸には、しょうゆと書かれた黒に近い濃いものや 味醂と書かれたもの、他に何か色々入っている






『確かこれは...この黒いものは、使った記憶がありますね。味は確か、塩辛かったはず』




己の下で試した不可思議な味を思い出す
他にも色々あった。
この色と似たもので、彼女はソレをそおすと呼んでいたはず

更に他にこしょうという、よく解らないものもあったはず






『こしょう...確かあれは、鼻がむず痒くなったはず』





よし、これらを組み合わせてみる他ない
物は試し
最初が一番重要ですからね!!

それらの場所は―――――――...机の上ですね

調味料一式は横長の箱に沢山詰められていた






『よし...では、まずは葉を毟りましょうかね』






手を水場できれいに洗い、さっと手を拭くと
いざ、調理開始!!

...ふむ、この葉は手で簡単に毟れるのですね
この白いのはどう、使うのでしょうか?

横に引っ張ってみるも、特に変化がない
と思いきや、白いものに亀裂が走る






『これはもしや...中に何か存在している?』




深い丼に白いものを入れる

...この亀裂に力を加えれば、いけるはずっ!!







グシャッ...





卵は見事にグシャリと丁の手の中で果てた
見るも無残な可愛そうなほどに。
手には黄色のものがべったりとこびり付いている

...これはまさかっ!!







『あのふわふわした食べ物の黄色いものでは!!?やりましたっ発見致しました!!』






キャッキャと喜ぶ幼子一名
まさか思いもよらぬものからの発見、
これは彼女が帰ってきたらご報告せねばいけませんね!!

...いや、彼女は知っていること。お教えしても困られますよね




『...次はどういたしましょうか』





さすがにこれは使えない、
ということで、新しく白いものを出し 今度は衝撃を与えてみる
丼の底で。

すると、やはりか亀裂が入り 今度こそ綺麗に割ってみせる
...これが本当の形だったんですね





『それと垂らしていたものは...あの微妙に透き通っていなかったモノはどこでしょうか』




今一度いう、油のことである。
どうやら、味醂と書かれている物の後ろにあったようだ

恐らくこれで間違いないはず。...多分





『よし、...量は多分これほどでいいでしょうから――――――――』











ポッポー♪

数分後








『......これは、えっと何ものなのでしょうか』




所々に焦げのある材料たち
できたのは、まあお察しほうれん草と卵の炒め物である(塩っぱめ)

一口ぱくりと味を確かめてみる





『......う゛っ塩辛い..』






さすがにどぼどぼ入れてはいない、がしかしそれでも塩っぱい
入れた調味料は、醤油にソースに胡椒になんか緑色の器(パセリと表記)に白いサラサラした物(塩と表記)を混ぜてある
非常に体に悪い




『お、お米が欲しいですね...これは、舌が辛い』





お米、朝彼女が炊きたてのを出してくれた
だが、その場所が不明...
お米がないことには始まらないし、到底食べきれる自信がない

...あ、あのレンジの横の黒い物体は?

さわさわと適当に触っているとパカリと開け、中には――――――――






『お米!!白い真っ新なお米ではないですか!!』





お米 こめ コメ 綺麗に一つ一つが輝く白い気高き食の神
これであの食べ物に勝てます!!
やりましたよ!!

ゆっくりゆっくり椀に余所って、てれび前の机に運び席に着く
手を勢いよく合わせればいつものアレを唱える






『いただきます!!』





丁はこの時、お米の神々しさと大切さ 輝きに艶に全てを知ることができた

良き勉強になりました。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ