*short*

□横取り恋慕。A
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*R-18、玩具使用。

リクエストを入れ込みました。
観覧ご注意です。






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俺にはクソカワイイ弟がいる。
名前は影山飛雄。
飛雄は小さい頃から俺によくなついていて、まるで護衛をするかのようにいつも俺の後ろをついて歩いていた。
手を繋げばふわりと微笑み、頭を撫でれば手のひらにもっととすりつける。天使以外の何者でもない。

そして気が付けば、その思いはとてつもなく膨大に俺の心を埋め尽くしていた。

好きなんかではない。
愛しているのだ。実の弟を。

しかし、俺もバカではない。
飛雄は男だし、弟だし。
そんな気持ちを抱いてはいけないということくらい小学生でもわかる。
だから俺は考えた。
もう弟を思わなくなる方法を。

まずは特定の女の子を作った。
なるべく美人で、優しくて、いつでも側にいてくれる女の子。
しかし、付き合いはじめて気がついたのは、彼女の特徴。

黒髪、つり目、M字の前髪。

___ああ、失敗か?

結局長くは続かず、女の子をとっかえひっかえ変えていく。
弟の代わりになるような女性はまだ出てはいないけど。

しかし、これだけではだめだ。
俺は考え続けた。

結果、飛雄と距離をとることを選んだのだ。
バレーの話を苛立たしげにすれば、飛雄はわかりやすく寂しそうな顔をして、俺から離れていった。
楽勝。


胸がぎしりと痛んだのは、知らないふりをした。
そうでもなきゃ、やってらんないっしょ?

飛雄はそれから一人になった。
俺もいなくなって、友達もあいつを見捨てた。
俺は助けてやらなかった。
あいつをそこまで追い詰めたのは俺だってわかってたから。
伸ばしかけてた手を握りしめて歯を食い縛ったのだ。
ごめん飛雄。
駄目な兄貴だな。

結局飛雄への気持ちは忘れることなく、俺の胸を支配している。
女の子への愛撫も最近は乱暴になっている気がしてならない。
しかし、女の子は手荒いセックスでも俺とありたいって微笑んだ。

あーほんと。

こういうときだけは
無駄に整った顔で良かったと思う。


飛雄との冷戦のような状態が続いて数年。
とうとう会話もままならなくなった。
うん、それでいい。

俺は重度の弟バカだ。
胸を張って言える。

これからお前は素敵な女の子と出会って、結婚して、幸せな生活を過ごすんだ。

俺のいない、当たり前の生活を。






そう思っていたのに。







今現在、弟の部屋の中。
俺は呆然と立ち尽くしていた。

どういうことだ?何が起きている。

暖かそうなベッドの上には、
顔を真っ赤にして眠る飛雄の姿。
怠そうに全身で息を吸う姿は、いつしか見た、風邪をこじらせた時の様子によく似ている。
きっと高熱に苦しんでいる最中だ。

それは、まぁ、いい。
良くはないが。


問題は、その飛雄の顔に被さるようにして口づけをしている少年だ。

眼鏡がでかい。背もでかい。
どう見たって男。典型的な男だ。

ようやく俺が来たことに気がついたのか、何事もなかったかのように唇を放してこちらを見てくるその瞳。
威嚇をしてくるみたいにギラギラしていて、思わずたじろいだ。

後ずさる俺に、そいつは深々と頭を下げてくる。

ん?どういうことだ。

「影山のお兄さん、ですよね。
俺、月島蛍です。こいつと同級生。
それからチームメイトでもあります。

__こいつの彼氏になりました。

これからよろしくお願いいたします。」




彼氏。

鈍器でガツーンと頭を殴られた感じ。頭痛が酷い。
一体どういうことなのかと聞く暇もなく、俺が酷く混乱している間にも、メガネくんはよいしょってそこから立ち上がった。
え、どこいくの。

「もうお兄さんも帰ってきたみたいだし。
僕はおいとまします。」

固まる俺の横をいとも簡単にすり抜ける、やる気のない男の顔。

本当に、本当なのか?
今このメガネくんがいったことは。

疑うようにその表情を盗み見れば、案の定、鋭い眼光の彼と目があった。
眼鏡越しでも、子供なら逃げ出してしまいそうな迫力に、何も言えなくなる。
冷や汗を背中が伝った頃、ようやく彼の重い口が
開いた。

「とらないでくださいよ。」



その言葉がすべてを語っていたと俺は思う。
あぁ、最悪だ。
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