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「うーん....
ちょっと時間かかりすぎじゃないかぁ...?
........うーん。」
「すーがーさん。
そんな心配してやんなくてもいいじゃないすか。大丈夫ですよ。
あいつもう子供じゃないんすから。」
「俺からしたらまだまだ日向も西谷も田中も子供だよ。
俺がいないとろくに店番もできないでしょ?
つまみ食いするし。お客にちょっかい出すし。
この間だって_____」
「おかんか!!!!
___あと、もうすぐ店開ける時間ッス。」
「うるさいべ西谷。
__だから心配なんじゃないか。
ああ〜事故とかにあってないかな?
大丈夫かな〜...」
「もー、菅さーん」
西谷は手製のみたらしが焦げないよう気を付けつつも、勝手口を行ったり来たりしながら不安を口に繰り返す菅原に声をかける。
もう日向が出掛けてかれこれ一時間が経過。
近場であったはずの届け先故に、菅原の心臓は大きく揺さぶられた。
お客に叱られたか?
転けて怪我をして動けないのでは?
やはりいかせなかった方が日向のためだったかと、菅原が46パターン目の可能性を脳内再生した時だ。
「菅原さん!!!ただいま戻りました!!!」
待ち望んでいた明るい大きな声。
呼ばれた超本人は嬉々として弾かれたように頭を起き上がらせると、急いで玄関の扉へと歩みを寄せた。
しかし、その際ふと出た疑問に眉間にシワを寄せる。
おかしいのだ。
いつもだったら日向が開けたと分かるくらい盛大に横戸をがたつかせる彼が、自分で扉を開けて室内に入ってこない。
__やはりどこかおかしいのでは.....
一度考えたらどうしようもなく恐ろしい方向へと思考が流れ、菅原は慌てたように勢いよく扉を開いた。
次いで、目へと写る一色の
赤。
赤、赤、赤。
「ひ、日向...!!?
なんてったってそんな血塗れに....!!」
「ちがうんす菅原さん!!
お願いです!!この人助けてやってもらえませんか!!?」
「え?この人って.....
___!!!!?」
菅原はあまりの衝撃に眼球がそのまま飛び出してしまうのではないかというほどに目を見開く。
一体全体どういうことなのだろうか。
出前に頼んだはずの従業員が、血塗れの男を引き連れてきちゃいましたなんて、笑えない。笑えなさすぎる。
むしろ一転通り越して納得してしまいそうなほど、彼の脳内は混乱していた。
しかし、真剣な表情そのものの日向を見ると、そうもいってられない。
助けてくれと日向は言った。
今、頼られているのは、
彼が救いを求めているのは
他のだれでもない、自分なのだ。