*long*

□#6
1ページ/2ページ

#6

「菅原さんおはよーごぜーます!!!」

「おう!!おはよう日向今日も元気だなー、結構結構」

「ちゃーす菅さーん!!」

「ちゃーす西谷!!ちゃんと頭巾かぶれー」

「ちゃす!!菅さん!!今日もおねしゃす!!」

「ちゃす田中ー!!ちゃんと手洗えよーお前さんよく忘れるんだから...」

「....。
あ、あの.....」

「ん、おはよう。影山。
今日からよろしく頼むべ。」

「......っす。」

ぺこりと丁寧に頭を下げる姿を見ると、やはりこの子もまだ子供なんだなーと何処か安心する。

菅原は影山の背中をぽんぽんと軽く叩いてやると、日向へと続くように先を促した。

新人の教育係が、コミュニケーション能力値が莫大に高い日向へと決まったのはつい先程の出来事だ。

菅原は副店長であるがゆえにやることが膨大にありすぎて、構いたくても構えない状況下のため不可能。
そうともなれば従業員の中からの選抜になるのだが、唸っている菅原の前で彼が手をあげて見せたのだ。

本人いわく、
「俺、もっとあいつと仲良くなってみたい!!!」とのこと。

単純な理由だったが、異論者はいなかった。

「いいかー影山!!
今日から俺がお前の先輩だ!!」

「....お前、ただのガキじゃなかったのか...」

「が...!!?
俺これでも立派な従業員の一人ですー!!!」

「ふーん。」

「聞いといてそれか!!この野郎!!」

しかし、任せたのはいいが、さっそく行き先が不安定で菅原はじんわりと額に汗をかく。

彼と軽くだが、接して気づいたことその1。
どうやら影山は思ったことを直結に口に出してしまうタイプで、その言い方が酷く日向の闘争心をくすぐってしまうっぽかったこと。
つまり、二人の相性は割と最悪といっても過言ではない。

はらはらして様子を見ていると、散々文句を言っていた影山が突如真剣な顔つきに戻った。

「てめぇがどんだけガキって言われるのがいやかよーく分かった。
わかったから早く作り方教えてくれ。」

「んだと!!?お前なんでそんなに俺には上から目線なんだよ!!!?」

「うるせぇぼげ。そんなん第一印象だ。お前がさいっあくな自己紹介のしかたしたからだろ。」

「あれは嬉しかったから、つい...!」

「おい。くっちゃべってんじゃねぇよ。やり方教えろっつってんだよ。

俺は役に立ってここの人達に恩返ししてぇ。早くしろ。」

「!!!」

日向の反応も無理はない。
菅原もあまりの予想外な言葉に心底驚いた。
気付いたこと1に追加事項。
どうやら、思ったことを直結に口に出してしまうのは、悪いことだけじゃないらしい。
日向だけに言ったであろう彼の本心は無駄に大きな声であったため、偶然耳に挟んでしまった西谷と田中も感動で身を震わせていた。

「なーんだ、可愛いとこあんのな。」

「だまれぼげ。」

「はいはい。」

そして気付いたことその2。
影山の悪口のレパートリーは月島ほど多くはないらしい。
それは日向も気づきつつあるのか(言われている本人だからだろうか。)早速扱い方が分かってきているようだった。

__これなら安心して任せられるかな?


ようやく肩の荷が降りた気分の副店長、菅原であった。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ